建築基準法第12条に基づく定期報告書とは、特定建築物や建築設備、防火設備、昇降機等について、専門技術者が定期的に検査を行い、その結果を報告する書類のことです。定期報告書は、建物の安全性や耐久性を確保するために重要なものです。
定期報告書は、建物の管理者や所有者が作成し、管轄する特定行政庁に提出する必要があります。
定期報告書の作成や提出には、様々な手続きやルールがあります。定期報告書の作成や提出について、わかりやすく解説します。
定期報告の通知書とは、建築物を管轄する特定行政庁から送られる、定期報告書の作成や提出を求める書類のことです。定期報告の通知書は、定期報告書の作成や提出の期限や方法、必要な情報などが記載されています。
定期報告の通知書が届いたら、早めに定期報告書の作成や提出に取り掛かることが必要です。定期報告書には、以下のような情報が必要です。
建物の管理者、所有者の情報とは、建物の管理や所有に関する者の氏名や住所、連絡先などのことです。
建物の管理者、所有者の情報は、定期報告書の表紙や本文に記載する必要があります。建物の管理者、所有者の情報は、建物の責任者として、定期報告書の作成や提出の義務があることを示すものです。
専門技術者の検査者情報とは、定期報告書に添付する検査報告書を作成した専門技術者の氏名や住所、資格などのことです。
専門技術者とは、建築士や設備士、消防設備士などの資格を持つ者のことです。専門技術者の検査者情報は、検査報告書の表紙や本文に記載する必要があります。専門技術者の検査者情報は、検査の内容や結果に対する責任を持つことを示すものです。
特定建築物とは、高さが13メートル以上の建築物や、教育施設や医療施設などの公共施設などのことです。特定建築物の検査結果・不具合、不備状況の例は、以下のようなものです。
・壁や床、天井などの構造部分にひび割れや変形、腐食などが見られる場合
・ 階段や廊下、出入口などの通路に障害物や滑りやすい部分がある場合
・防火扉や非常口などの避難設備に不具合や故障がある場合
・照明や空調などの電気設備に不具合や故障がある場合
・水道や下水などの水道設備に不具合や故障がある場合
・ガスや石油などの燃料設備に不具合や故障がある場合
建築設備とは、建築物に設置される電気設備や水道設備、燃料設備などのことです。建築設備の検査結果・不具合、不備状況の例は、以下のようなものです。
電気設備とは、照明や空調、換気などの設備や、配線やコンセント、スイッチなどの部品などのことです。電気設備の検査結果・不具合、不備状況の例は、以下のようなものです。
・照明が点灯しない、暗い、チカチカするなどの場合
・空調が効かない、温度が不安定、音がうるさいなどの場合
・換気が効かない、臭いがする、音がうるさいなどの場合
・配線が切れている、燃えている、錆びているなどの場合
・コンセントが抜けている、破損している、熱くなっているなどの場合
・スイッチが動かない、破損している、火花が出るなどの場合
水道設備とは、水道や下水、排水などの設備や、配管や蛇口、トイレなどの部品などのことです。水道設備の検査結果・不具合、不備状況の例は、以下のようなものです。
・水道が出ない、水圧が低い、水質が悪いなどの場合
・下水が詰まる、溢れる、臭いがするなどの場合
・排水が流れない、溢れる、臭いがするなどの場合
・配管が切れている、破裂している、錆びているなどの場合
・蛇口が動かない、破損している、水漏れしているなどの場合
・トイレが流れない、詰まる、水漏れしているなどの場合
燃料設備とは、ガスや石油などの燃料を供給する設備や、給湯器やコンロなどの使用設備などのことです。燃料設備の検査結果・不具合、不備状況の例は、以下のようなものです。
・燃料が供給されない、供給量が不安定、供給圧が低いなどの場合
・給湯器が点火しない、温度が不安定、音がうるさいなどの場合
・コンロが点火しない、火力が弱い、音がうるさいなどの場合
・燃料管が切れている、破裂している、錆びているなどの場合
・燃料漏れがある、臭いがする、火災が発生するなどの場合
防火設備とは、火災を予防したり、発生した場合に消火したり、避難したりするための設備や、防火扉や非常口、消火器などの部品などのことです。防火設備の検査結果・不具合、不備状況の例は、以下のようなものです。
・防火扉が開かない、閉まらない、破損しているなどの場合
・非常口が開かない、閉まっている、破損しているなどの場合
・消火器が使えない、圧力が低い、期限が切れているなどの場合
・消防報知器が作動しない、誤作動する、故障しているなどの場合
・非常放送が聞こえない、誤放送する、故障しているなどの場合
昇降機等とは、エレベーターやエスカレーターなどのことです。昇降機等の検査結果・不具合、不備状況の例は、以下のようなものです。
・エスカレーターが動かない、停止する、振動するなどの場合
・エレベーターやエスカレーターの扉が開かない、閉まらない、破損しているなどの場合
・エレベーターやエスカレーターの表示や音声が正しくない、聞こえない、故障しているなどの場合
・エレベーターやエスカレーターの安全装置が作動しない、誤作動する、故障しているなどの場合
12条点検とは、建築基準法第12条に基づく定期報告書に添付する検査報告書を作成するために行う検査のことです。
12条点検のおおまかな流れは、以下のようなものです。
建築物を管轄する特定行政庁とは、都道府県や市町村などのことです。
特定行政庁は、定期報告書の作成や提出の期限や方法、必要な情報などを記載した検査通知書を、建物の管理者や所有者に送付します。
検査通知書は、定期報告書の作成や提出に向けての第一歩となる書類です。検査通知書が届いたら、早めに検査の準備に取り掛かることが必要です。
12条点検を依頼する会社とは、専門技術者を派遣して、建物や設備の検査を行ってくれる会社のことです。12条点検を依頼する会社は、建設会社や工務店、建築設計事務所、不動産管理会社、消防点検業者、設備業者、一級もしくは二級建築士(個人)などがあります。
12条点検を依頼する会社を選ぶときには、以下のような点に注意することが必要です。
・資格や経験があるか
・費用や検査内容が明確か
・信頼や評判が高いか
・アフターサービスが充実しているか
12条点検を依頼する会社を選ぶときには、複数の会社に見積もりを依頼して、費用や検査内容を比較することがおすすめです。
検査会社の指示に従い書類を提出するとは、検査会社が求める書類を、検査会社が指定する方法で、検査会社が指定する期限までに提出することです。検査会社が求める書類とは、以下のようなものです。
・建物の管理者、所有者の情報
・建物の設計図や構造計算書などの資料
・建物の使用状況や履歴などの資料
・建物の修繕計画や実施状況などの資料
検査会社が指定する方法とは、郵送やメール、FAXなどのことです。検査会社が指定する期限とは、検査日の前日や当日などのことです。検査会社に書類を提出することで、検査の準備が整います。
専門技術者にて検査を行うとは、検査会社が派遣した専門技術者が、建物や設備の検査を行うことです。専門技術者とは、建築士や設備士、消防設備士などの資格を持つ者のことです。専門技術者は、建物や設備の構造や機能、状態や劣化などを、目視や測定、試験などの方法で調べます。
専門技術者は、検査の内容や結果、不具合や不備の有無や程度などを、検査報告書に記録します。
専門技術者にて検査を行うことで、建物や設備の安全性や耐久性を評価することができます。
報告書を作成・提出するとは、検査会社が作成した検査報告書を、建物の管理者や所有者が確認し、定期報告書に添付して、管轄する特定行政庁に提出することです。検査報告書とは、専門技術者が記録した検査の内容や結果、不具合や不備の有無や程度などのことです。
定期報告書とは、建物の管理者や所有者が作成する、建物や設備の検査の結果を報告する書類のことです。特定行政庁とは、都道府県や市町村などのことです。報告書を作成・提出することで、建物や設備の検査の完了を証明することができます。
12条点検の対象とは、建築基準法第12条に基づく定期報告書に添付する検査報告書を作成する必要がある建物や設備のことです。
12条点検の対象は、以下のようなものです。
特定建築物とは、高さが13メートル以上の建築物や、教育施設や医療施設などの公共施設などのことです。特定建築物は、多くの人が利用する建築物であるため、安全性や耐久性に高い水準が求められます。
特定建築物は、3年以内ごとに検査を行う必要があります。
建築設備とは、建築物に設置される電気設備や水道設備、燃料設備などのことです。建築設備は、建築物の利便性や快適性に影響する設備であるため、機能性や安全性に高い水準が求められます。
建築設備は、1年ごとに検査を行う必要があります。
防火設備とは、火災を予防したり、発生した場合に消火したり、避難したりするための設備や、防火扉や非常口、消火器などの部品などのことです。
防火設備は、建築物の防災性に影響する設備であるため、効果性や安全性に高い水準が求められます。防火設備は、1年ごとに検査を行う必要があります。
昇降機等とは、エレベーターやエスカレーターなどのことです。昇降機等は、建築物の移動性や利便性に影響する設備であるため、機能性や安全性に高い水準が求められます。
昇降機等は、1年ごとに検査を行う必要があります。
12条点検の周期とは、建築基準法第12条に基づく定期報告書に添付する検査報告書を作成する必要がある建物や設備の検査を行う間隔のことです。
12条点検の周期は、建物や設備の種類によって異なります。12条点検の周期は、以下のようなものです。
特定建築物とは、高さが13メートル以上の建築物や、教育施設や医療施設などの公共施設などのことです。特定建築物は、多くの人が利用する建築物であるため、安全性や耐久性に高い水準が求められます。特定建築物は、3年以内ごとに検査を行う必要があります。
3年以内ごとに検査を行うことで、建物の構造や機能、状態や劣化などを定期的にチェックすることができます。
建築設備とは、建築物に設置される電気設備や水道設備、燃料設備などのことです。防火設備とは、火災を予防したり、発生した場合に消火したり、避難したりするための設備や、防火扉や非常口、消火器などの部品などのことです。
昇降機等とは、エレベーターやエスカレーターなどのことです。建築設備、防火設備、昇降機は、建築物の利便性や快適性、防災性に影響する設備であるため、機能性や安全性に高い水準が求められます。
建築設備、防火設備、昇降機は、1年ごとに検査を行う必要があります。1年ごとに検査を行うことで、設備の機能や状態、不具合や故障などを定期的にチェックすることができます。