12条点検の費用目安はいくらくらい?どんな基準で決まる?

建築物の所有者は、建築基準法第12条に基づき、定期的に建築物の構造や設備について調査・報告することが義務付けられています。この調査・報告を「12条点検」と呼びます。12条点検は、建築物の安全性を確保するために重要なものですが、その費用はどのくらいかかるのでしょうか?
また、その費用はどのような基準で決まるのでしょうか?

この記事では、12条点検の費用目安とその決まり方について解説します。12条点検の費用は、建築物の用途や延床面積、築年数などによって異なります。また、調査費用以外にも、報告書作成料金や報告書提出代行費用などが発生する場合があります。
12条点検の費用を知ることで、予算や計画を立てるのに役立ちます。

12条点検の費用はどうやって決まる?

12条点検の費用は、主に以下の3つの要素によって決まります。

・ 建築物の用途
・ 建築物の延床面積
・ 建築物の築年数

建築物の用途とは、建築物がどのような目的で使われているかを表すものです。例えば、共同住宅(マンション)、事務所、病院、福祉施設、学校、図書館、ホテル、旅館、店舗などがあります。建築物の用途によって、12条点検の費用は異なります。一般的に、建築物の用途が複雑であればあるほど、12条点検の費用は高くなります。これは、建築物の用途が複雑であれば、調査する項目や範囲が多くなり、調査にかかる時間や労力が増えるためです。

建築物の延床面積とは、建築物の各階の床面積の合計を表すものです。建築物の延床面積によって、12条点検の費用は異なります。一般的に、建築物の延床面積が大きければ大きいほど、12条点検の費用は高くなります。これは、建築物の延床面積が大きければ、調査する面積や箇所が多くなり、調査にかかる時間や労力が増えるためです。

建築物の築年数とは、建築物が完成してから現在までの経過年数を表すものです。建築物の築年数によって、12条点検の費用は異なります。一般的に、建築物の築年数が古ければ古いほど、12条点検の費用は高くなります。これは、建築物の築年数が古ければ、建築物の劣化や損傷が進んでいる可能性が高く、調査する内容や範囲が広くなり、調査にかかる時間や労力が増えるためです。

以上のように、12条点検の費用は、建築物の用途や延床面積、築年数などによって決まります。しかし、これらの要素はあくまで目安であり、実際の費用は、会社や工務店、業者によってまちまちです。そのため、12条点検の費用を知るには、複数の会社や工務店、業者に見積もりを依頼することが必要です。見積もりを依頼する際には、以下のような点に注意しましょう。

・ 見積もりは無料であることを確認する
・ 見積もりは明細書として提示してもらう
・ 見積もりは税込みの金額であることを確認する
・ 見積もりに含まれる項目や内容を詳しく説明してもらう
・ 見積もりに含まれない項目や内容がある場合は、別途費用が発生することを確認する

12条点検費用目安:500㎡未満の場合

建築物の延床面積が500㎡未満の場合、12条点検の費用目安は、用途別に以下のようになります。

共同住宅(マンション)

共同住宅(マンション)の場合、12条点検の費用目安は、以下のようになります。

・ 延床面積が100㎡未満の場合:約20万円
・ 延床面積が100㎡以上200㎡未満の場合:約30万円
・ 延床面積が200㎡以上300㎡未満の場合:約40万円
・ 延床面積が300㎡以上400㎡未満の場合:約50万円
・ 延床面積が400㎡以上500㎡未満の場合:約60万円

事務所・病院・福祉施設

事務所・病院・福祉施設の場合、12条点検の費用目安は、以下のようになります。

・ 延床面積が100㎡未満の場合:約25万円
・ 延床面積が100㎡以上200㎡未満の場合:約35万円
・ 延床面積が200㎡以上300㎡未満の場合:約45万円
・ 延床面積が300㎡以上400㎡未満の場合:約55万円
・ 延床面積が400㎡以上500㎡未満の場合:約65万円

学校・図書館

学校・図書館の場合、12条点検の費用目安は、以下のようになります。

・ 延床面積が100㎡未満の場合:約30万円
・ 延床面積が100㎡以上200㎡未満の場合:約40万円
・ 延床面積が200㎡以上300㎡未満の場合:約50万円
・ 延床面積が300㎡以上400㎡未満の場合:約60万円
・ 延床面積が400㎡以上500㎡未満の場合:約70万円

ホテル・旅館・店舗

ホテル・旅館・店舗の場合、12条点検の費用目安は、以下のようになります。

・ 延床面積が100㎡未満の場合:約35万円
・ 延床面積が100㎡以上200㎡未満の場合:約45万円
・ 延床面積が200㎡以上300㎡未満の場合:約55万円
・ 延床面積が300㎡以上400㎡未満の場合:約65万円
・ 延床面積が400㎡以上500㎡未満の場合:約75万円

※これらの費用目安は、一般的な場合のものであり、実際の費用は、建築物の状況や調査会社の料金体系によって異なります。また、これらの費用目安は、税込みの金額であり、報告書作成料金や報告書提出代行費用などは含まれていません。
そのため、正確な費用を知るには、複数の調査会社に見積もりを依頼することが必要です。

見積もりを依頼する際には、前述のように注意点がありますので、忘れないようにしましょう。

12条点検費用目安:500㎡以上の場合

建築物の延床面積が500㎡以上の場合、12条点検の費用目安は、用途別に以下のようになります。

共同住宅(マンション)

共同住宅(マンション)の場合、12条点検の費用目安は、以下のようになります。

・ 延床面積が500㎡以上1000㎡未満の場合:約70万円
・ 延床面積が1000㎡以上2000㎡未満の場合:約90万円
・ 延床面積が2000㎡以上3000㎡未満の場合:約110万円
・ 延床面積が3000㎡以上4000㎡未満の場合:約130万円
・ 延床面積が4000㎡以上5000㎡未満の場合:約150万円

事務所・病院・福祉施設

事務所・病院・福祉施設の場合、12条点検の費用目安は、以下のようになります。

・ 延床面積が500㎡以上1000㎡未満の場合:約80万円
・ 延床面積が1000㎡以上2000㎡未満の場合:約100万円
・ 延床面積が2000㎡以上3000㎡未満の場合:約120万円
・ 延床面積が3000㎡以上4000㎡未満の場合:約140万円
・ 延床面積が4000㎡以上5000㎡未満の場合:約160万円

学校・図書館

学校・図書館の場合、12条点検の費用目安は、以下のようになります。

・ 延床面積が500㎡以上1000㎡未満の場合:約90万円
・ 延床面積が1000㎡以上2000㎡未満の場合:約110万円
・ 延床面積が2000㎡以上3000㎡未満の場合:約130万円
・ 延床面積が3000㎡以上4000㎡未満の場合:約150万円
・ 延床面積が4000㎡以上5000㎡未満の場合:約170万円

学校・図書館

学校・図書館の場合、12条点検の費用目安は、以下のようになります。

・ 延床面積が500㎡以上1000㎡未満の場合:約90万円
・ 延床面積が1000㎡以上2000㎡未満の場合:約110万円
・ 延床面積が2000㎡以上3000㎡未満の場合:約130万円
・ 延床面積が3000㎡以上4000㎡未満の場合:約150万円
・ 延床面積が4000㎡以上5000㎡未満の場合:約170万円

ホテル・旅館・店舗

ホテル・旅館・店舗の場合、12条点検の費用目安は、以下のようになります。

・ 延床面積が500㎡以上1000㎡未満の場合:約100万円
・ 延床面積が1000㎡以上2000㎡未満の場合:約120万円
・ 延床面積が2000㎡以上3000㎡未満の場合:約140万円
・ 延床面積が3000㎡以上4000㎡未満の場合:約160万円
・ 延床面積が4000㎡以上5000㎡未満の場合:約180万円

これらの費用目安は、一般的な場合のものであり、実際の費用は、建築物の状況や調査会社の料金体系によって異なります。また、これらの費用目安は、税込みの金額であり、報告書作成料金や報告書提出代行費用などは含まれていません。
そのため、正確な費用を知るには、複数の調査会社に見積もりを依頼することが必要です。
見積もりを依頼する際には、前述のように注意点がありますので、忘れないようにしましょう。

調査費用以外にも費用が発生する場合がある

12条点検の費用は、調査費用だけではなく、以下のような費用が発生する場合があります。

・ 報告書作成料金
・ 報告書提出代行費用
・ 調査員の宿泊費や交通費
・ 深夜対応料金

報告書作成料金とは、12条点検の調査結果をまとめた報告書を作成するためにかかる費用です。報告書作成料金は、調査会社や工務店によって異なりますが、一般的には、調査費用の10%~20%程度が目安となります。報告書作成料金は、報告書のページ数や内容、図表の有無などによって変わります。報告書作成料金は、見積もりの際に明確に提示してもらうようにしましょう。

報告書提出代行費用とは、12条点検の報告書を建築主の代わりに所轄の行政機関に提出するためにかかる費用です。報告書提出代行費用は、調査会社や工務店によって異なりますが、一般的には、1万円~3万円程度が目安となります。報告書提出代行費用は、提出先の行政機関の数や距離、提出方法などによって変わります。報告書提出代行費用は、見積もりの際に明確に提示してもらうようにしましょう。

調査員の宿泊費や交通費とは、12条点検の調査を行うために、調査員が遠方から来る場合にかかる費用です。調査員の宿泊費や交通費は、調査会社や工務店によって異なりますが、一般的には、実費で請求されます。調査員の宿泊費や交通費は、調査地の場所や交通手段、宿泊施設などによって変わります。調査員の宿泊費や交通費は、見積もりの際に明確に提示してもらうようにしましょう。

深夜対応料金とは、12条点検の調査を深夜に行う場合にかかる費用です。深夜対応料金は、調査会社や工務店によって異なりますが、一般的には、調査費用の10%~30%程度が目安となります。深夜対応料金は、深夜に調査する理由や時間帯、調査員の人数などによって変わります。深夜対応料金は、見積もりの際に明確に提示してもらうようにしましょう。

以上のように、12条点検の費用は、調査費用以外にも、報告書作成料金や報告書提出代行費用、調査員の宿泊費や交通費、深夜対応料金などが発生する場合があります。これらの費用は、12条点検の費用に大きく影響を与える可能性があります。そのため、12条点検の費用を知るには、見積もりの際に、これらの費用が含まれているかどうか、明確に確認することが必要です。

建築基準法第12条ではどの項目をだれが検査する?

12条点検は、建築基準法第12条に基づいて行われる調査報告です。
建築基準法第12条では、以下のような項目を、以下のような人が検査することが定められています。

特定建築物

特定建築物とは、建築基準法第2条第1項第1号に規定する建築物のうち、以下のいずれかに該当する建築物をいいます。

・ 延床面積が500㎡以上である建築物
・ 高さが13m以上である建築物
・ 3階以上の階数である建築物
・ 人の集まる建築物(劇場、映画館、ホール、展示場、博物館、美術館、図書館、学校、病院、福祉施設、ホテル、旅館、店舗など)
・ 特殊な用途の建築物(工場、倉庫、ガソリンスタンド、駐車場など)

特定建築物の場合、12条点検では、以下の項目を検査します。

・ 建築物の構造
・ 建築物の外壁
・ 建築物の屋根
・ 建築物の床
・ 建築物の階段
・ 建築物の防火区画
・ 建築物の防火扉
・ 建築物の非常口
・ 建築物の避難通路
・ 建築物の避難設備
・ 建築物の防火対策

特定建築物の12条点検は、以下の人が実施します。

・ 建築士
・ 建築物点検技術者
・ 建築物点検補助者

建築士とは、建築士法第2条に規定する建築士のことで、建築物の設計や監理などを行うことができる資格を持った人です。建築士には、一級建築士と二級建築士があります。一級建築士は、どのような建築物でも設計や監理ができますが、二級建築士は、特定の建築物に限られます。

建築物点検技術者とは、建築物の点検技術者法第2条に規定する建築物点検技術者のことで、建築物の点検を行うことができる資格を持った人です。建築物点検技術者には、一級建築物点検技術者と二級建築物点検技術者があります。一級建築物点検技術者は、どのような建築物でも点検ができますが、二級建築物点検技術者は、特定の建築物に限られます。

建築物点検補助者とは、建築物の点検技術者法第3条に規定する建築物点検補助者のことで、建築物点検技術者の指示のもとで、建築物の点検を補助することができる資格を持った人です。建築物点検補助者は、建築物点検技術者の監督下でなければ、建築物の点検を行うことができません。

以上のように、特定建築物の12条点検は、建築士、建築物点検技術者、建築物点検補助者のいずれかが実施します。これらの人は、それぞれの資格を取得するために、試験や研修などを受けています。また、これらの人は、12条点検の実施に関する報告書を作成し、所轄の行政機関に提出することが義務付けられています。

まとめ

この記事では、12条点検の費用目安とその決まり方について解説しました。12条点検の費用は、建築物の用途や延床面積、築年数などによって異なります。また、12条点検の費用は、調査費用以外にも、報告書作成料金や報告書提出代行費用、調査員の宿泊費や交通費、深夜対応料金などが発生する場合があります。12条点検の費用を知るには、複数の調査会社に見積もりを依頼することが必要です。見積もりを依頼する際には、注意点がありますので、忘れないようにしましょう。

また、12条点検は、建築基準法第12条に基づいて行われる調査、報告です。建築基準法第12条では、特定建築物の構造や設備について、建築士、建築物点検技術者、建築物点検補助者のいずれかが検査することが定められています。これらの人は、それぞれの資格を取得するために、試験や研修などを受けています。また、これらの人は、12条点検の実施に関する報告書を作成し、所轄の行政機関に提出することが義務付けられています。

12条点検は、建築物の安全性を確保するために重要なものです。12条点検を行うことで、建築物の劣化や損傷を早期に発見し、修繕や補強などの対策を行うことができます。また、12条点検を行うことで、建築物の美観や耐久性も向上します。12条点検を行うことは、建築物の価値を高めることにもつながります。

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