ドローンによる橋梁点検のメリットとデメリットをご紹介

橋梁点検の現場で、ドローンが注目されています。本記事では、そのメリットとデメリット、そして今後の展望について探ります。国土交通省のスマート化政策や未来投資戦略におけるICT活用の推進から、ドローンが橋梁点検にどのように貢献しているのかを解説します。
また、ドローンを活用することで実現する安全性向上や業務効率化、高精度な点検データの取得に焦点を当て、そのメリットとデメリットを整理します。そして、今後の発展に向けての展望に触れ、橋梁の安全と維持にドローンが果たす役割について考察します。

橋梁点検にドローンの導入が進められている理由とは?

橋梁点検におけるドローンの導入が進む理由を探ります。その中でも以下の2つの主要な要因が浮かび上がっています。

「点検支援技術性能カタログ(案)」での点検業務のスマート化の推進

国土交通省が策定した「点検支援技術性能カタログ(案)」は、新たな技術を導入して点検業務を効率化するためのガイドラインです。この中で、ドローンを含む革新的な技術の活用が推奨されており、これによって点検作業の合理化や効率向上が期待されています。
特にドローンは高所での点検を安全かつ効果的に行えるため、導入が進んでいます。

「未来投資戦略2018」でインフラの点検におけるドローンなどICT活用の推進

日本政府の「未来投資戦略2018」では、インフラ点検におけるドローンやICT技術の活用が重要な柱として位置づけられています。この戦略に基づき、ドローンは橋梁点検において高度な役割を果たしており、データのリアルタイム収集や効率的な点検計画の策定に寄与しています。
このような政策的サポートによって、ドローンを活用した橋梁点検はますます普及しています。

ドローンで橋梁を点検するメリット

ドローンを使用した橋梁点検には多くのメリットがあります。

人に安全な点検作業(高所作業での事故リスクの排除)

伝統的な橋梁点検では、高所での作業が必要で、事故リスクがつきものでした。しかし、ドローンを使用することで、作業員が高所に登る必要がなくなり、安全性が向上します。これにより、人身事故を回避し、点検作業の安全性を確保できます。

点検にかかる時間の短縮(業務の効率化)

ドローンは高速で飛行し、広範囲の橋梁を迅速に点検できます。伝統的な手法に比べて点検にかかる時間が大幅に短縮され、業務の効率化が図れます。これにより、交通の影響を最小限に抑えつつ、効率的な点検が可能です。

高精度な点検が可能(高品質の画像や動画での確認)

ドローンは高解像度のカメラやセンサーを搭載しており、高精度な点検が可能です。これにより、橋梁の細部まで正確に点検でき、問題箇所を逃さずに特定できます。高品質の画像や動画で問題の確認ができるため、点検結果の信頼性が向上します。

多くの人員は不要(コストカット)

伝統的な橋梁点検には多くの作業員が必要で、人件費がかかります。一方、ドローンを使用することで、点検作業に必要な人員を大幅に削減できます。これにより、コストを削減し、予算を効果的に活用できます。

ドローンによる橋梁点検は、安全性の向上、効率化、高精度なデータ収集、コスト削減など、多くのメリットを提供します。これらの利点により、橋梁管理者は効果的な点検と保守を実施し、橋梁の安全性と耐久性を確保できます。

ドローンで橋梁を点検するデメリット

ドローンによる橋梁点検にはいくつかのデメリットも存在します。

天候に左右されてしまう

ドローンの運航は天候に大きく左右されます。風や雨などの悪天候では、ドローンの飛行が制約され、点検作業が実施できないことがあります。このため、点検スケジュールの柔軟性が必要であり、計画の変更が生じる可能性があります。

橋梁の場所によっては国土交通大臣の許可を得る必要がある

一部の橋梁は、国土交通大臣の許可を得なければドローンによる点検が行えません。特に交通量の多い高速道路などでは、空中での飛行に制限があり、許可取得の手続きが煩雑です。これにより、点検の際に追加の時間と労力が必要となる場合があります。

ドローンを活用する際には、これらのデメリットを考慮し、適切な計画と許認可の取得が求められます。しかし、デメリットに比べてメリットの方が多い場面も多く、効率的な橋梁点検には依然としてドローンが有用です。

橋梁点検における、ドローンの現状と今後

橋梁点検におけるドローンの利用は現代の技術進化により急速に広まっています。ここでは、橋梁点検におけるドローンの現状と今後について詳しく見ていきます。

現在は人による点検+ドローン点検のやり方が主流

現在の橋梁点検では、人間の点検員がドローンを利用して点検作業を行うのが一般的です。これにより、高所や難アクセスな場所に人員を派遣する必要がなく、効率的で安全な点検が可能です。

大型ドローンで入り込めない箇所を小型ドローンで点検

大型の橋梁の点検には大型ドローンが利用され、広範囲な点検が行えます。一方で、狭い箇所や細かな部分の点検には小型ドローンが適しています。このような組み合わせにより、あらゆる箇所の点検が可能です。

今後橋梁の老朽化問題により、橋梁の定期点検の重要性がますます高まる予想

橋梁の老朽化が進行する中、定期的な点検がますます重要となります。ドローンは迅速かつ効率的な点検手段として、今後ますます普及するでしょう。老朽化に伴う安全性の確保や効率的な点検作業を実現するために、ドローンの活用は不可欠と言えます。

まとめ

ドローンによる橋梁点検は、現代の技術革新がインフラ管理にも大きな変革をもたらしています。その利点として、安全性向上、業務効率化、高精度な点検データ取得、そして人員コストの削減が挙げられます。
一方で、天候に左右されたり許可手続きが必要だったりといった課題も存在します。しかし、将来的には橋梁の老朽化問題が浮上し、ドローンの役割が一層重要となるでしょう。ドローン技術の進化と政策の支援を受け、橋梁の点検と保守における革命が期待されます。
これにより、安全で信頼性の高い橋梁の維持が実現し、国や地域の発展に寄与するでしょう。

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