火災保険とは火災や落雷、水害、風害などが原因で、建物や家財に損害が生じた場合に補償される保険です。
 戸建てで火災保険に加入している人もいますが、マンションに住んでいて火災保険に加入している人も多いのではないでしょうか。
マンションは集合住宅として設計されていますから、自ずと戸建てと構造が変わってきます。構造が変わると火災保険の適用のされ方も変わります。

マンションに住んでいて、火災保険を検討している人であれば、
どのような事例があるか知っておく必要があるでしょう。

マンションの火災保険には不要なものと必須のものがある

【マンションの火災保険について】

マンションにおける火災保険の概要

マンションに住んでいる人であれば、火災保険には特に注意をしておきたいものです。他のマンション住人の部屋が失火して、自身が大金で購入した分譲マンションが焼失してしまったとしても、「失火責任法」という法律により、軽過失であれば火元の住人は責任を問われないのです。

そのため、マンションに住む人であれば火災保険によって自分の資産を保護しておく必要があるでしょう。

◇戸建てとの違い

戸建てとの最大の違いは、マンションは専有部分のみの補償となりますから、戸建てよりも値段は安くなります。
また、集合住宅であるマンションは通常の戸建てよりも、水災、風災への耐性は強いと言えますから、補償から外してしまうという選択肢を取ることも可能です。

◇共用部分と専有部分について考える

専有部分の火災保険は自分自身で個別に加入することになります。共用部分の火災保険はマンション管理組合で加入することになります。

共用部分の保険料は「管理費」という名目でマンション管理組合に支払うことになりますから、マンションに住んでいる人は専有部分の火災保険料と共用部分の火災保険料の両方を支払っているとも言えるのです。

◇必要な補償について(火災、水漏れ、盗難、個人賠償責任保険)
マンションにおいては、火災、水漏れ、盗難、個人賠償責任保険の補償について検討しておく必要があるでしょう。
火災補償は火災以外にも、落雷、爆発、破裂なども補償されます。
また、マンションで注意したいのは、水漏れです。共用部分である給排水設備からの水漏れにより、
居住者の居室内で生じた水濡れ事故が生じることがあるからです。

盗難は、それを原因として発生した、破損、家財の被害を補償します。
個人賠償責任保険は、マンションにおいて、自分が原因で火災や漏水が発生した場合に相手への損害を補償します。

注意点は火災や漏水において、自分自身に重過失があれば補償の対象外となる可能性があることでしょう。
重過失の具体例としては、てんぷらを揚げていたにも関わらず、その場から立ち去り、油に引火して火災が発生した
というケースが挙げられます。

【マンションの火災保険の事例(財産編)】
◆マンションの財産に関する補償の適用例
ここでは実際の補償例について紹介します。

◇マンションから出火し、放水で共用部分に水濡れが発生
上階が出火してしまい、放水によって火を消し止めたことにより、下階の部屋で水漏れやが発生した場合は、
「水漏れ」の保険金が支払われます。
また、これらの出火に上階の方の重過失があれば、個別に賠償請求することも可能であると考えられます。

◇落雷や異常気象で共用部分の設備に損害が発生
マンションにおいては、共用部分の設備はエレベーター、インターホン、火災受信機、受水槽、機械式立体駐車場など
多岐に渡ります。
そして、落雷の事故が起きた場合は、これらの設備に不具合はしばしば生じることとなりますが、
これらについての落雷を原因とした損害も火災保険で補償を受けることができます。

◇台風による被害でマンションのエントランスが破損
風害でエントランス、マンションの屋根・アルミ製フェンスなどが破損した場合もこれらは火災保険の補償の
対象範囲となります。

特に台風の発生しやすい地域のマンションであれば必須で風災補償をつけておくべきと言えます。

【マンションの火災保険の事例(賠償責任編)】
◆他人に損害を与えた時の適用例
最後は個人で他人に損害を与えてしまった場合の事例を紹介します。

◇共用部分から専有部分への被害
最上階の共用部分の給水管パイプが漏水し、専有部分の家財に損害が発生したような事例も補償対象となります。
こういった水漏れは専有部分同士の場合も考えられます。
その場合は個人賠償責任保険に加入していることで救済を受けることができます。

実際にバスルームや洗面台からの漏水、トレイ排水管が破損しての汚損、断水中に蛇口を開いたまま
長期で外出してしまい、断水解除に気が付かず漏水など、階下に、甚大な被害を与えてしまう事例も多くあります。
このような事態に備えるためにも個人賠償責任保険には加入しておくべきと言えるでしょう。

【まとめ】
マンションの場合は戸建てと異なり、集合住宅であるという性質上自分で起こした事故やトラブルが
周囲の人に損害を与える可能性があります。
また、エレベーター、バルコニー、エントランスなどマンション住人の共用部分に関する補償についても
管理組合全体で検討しておく必要があると言えるでしょう。