【災害名】
茨城県沖地震(いばらきけんおきじしん)
【時期】
2008年(平成20年)5月8日1時45分
【概要】
2008年(平成20年)5月8日1時45分に北緯36度13.7分、東経141度36.5分で発生した地震。 震源の深さ約51km、地震の規模はマグニチュード (Mj) 7.0、モーメントマグニチュード (Mw) 6.9。 茨城県水戸市・栃木県茂木町で震度5弱を観測した。 また前震活動が活発で5月7日夕方ごろからM4から M5の地震が発生し、直前の1時2分には、北緯36.23度・東経 141.95度でM6.4、震源の深さ約60km、1時16分にはM6.3、震源の深さ18 kmの地震が発生している。 ともに、プレート間地震。2つのアスペリティのうち前震で東側の領域、本震で西側の領域が破壊されたとみられる。
【被害状況】
負傷者6人 震度4以上を観測した市町村 震度5弱 茨城県 水戸市 栃木県 茂木町 震度4 宮城県 栗原市 登米市 美里町 大崎市 角田市 岩沼市 蔵王町 大河原町 丸森町 石巻市 福島県 福島市 郡山市 白河市 須賀川市 二本松市 国見町 田村市 いわき市 葛尾村 南相馬市 会津若松市 猪苗代町 茨城県 日立市 常陸太田市 高萩市 笠間市 ひたちなか市 茨城町 東海村 常陸大宮市 那珂市 小美玉市 土浦市 石岡市 下妻市 取手市 つくば市 鹿嶋市 潮来市 阿見町 河内町 坂東市 稲敷市 筑西市 かすみがうら市 神栖市 行方市 桜川市 鉾田市 常総市 つくばみらい市 栃木県 大田原市 那須町 小山市 二宮町 益子町 市貝町 高根沢町 下野市 埼玉県 大利根町 春日部市 宮代町 千葉県 銚子市 旭市 多古町 香取市 成田市 印西市 白井市 本埜村 東北・関東地方の広域で震度3以上を観測したほか、北海道から奈良県・大阪府・兵庫県までの広範囲で震度1以上を観測した。大阪管区気象台においても揺れが観測されている。 本震に対しては緊急地震速報が発表され、関東地方のほとんどと東北地方の一部が対象地域となった。高度利用者向け緊急地震速報は多くの対象地域で主要動が到達する前に発表されたが、一般向け緊急地震速報は発表するまで、およそ1分程度時間がかかり、ほとんどの対象地域で地震の主要動に間に合っていなかった。 また、震度5弱を観測した栃木県茂木町の観測について、数百メートル程度離れたところにある別の観測機では震度3の揺れだったこと、設置環境不備などにより当該観測点を移設することになった。
【特記事項】
茨城県沖では太平洋プレートと陸のプレート(北アメリカプレート)境界で、M6.7 – 7.2の地震が繰り返し発生している。 震源位置などから1920年代、1943年、1960年代、1982年、2010年前後の地震がこのタイプの地震とみられ、ほぼ同じ震源域を持っていると考えられる。この震源域には少なくとも2つのアスペリティがあると考えられ、同時あるいはある程度の間隔で破壊されるとみられる。 また、茨城県沖では日本海溝から太平洋プレートが、日本列島(東日本以北)を載せている陸のプレート(北アメリカプレート)の下に沈み込んでおり、茨城県の南部ではフィリピン海プレートが相模トラフから前述の2つのプレートの間に割り込む形で沈み込んでいて、複雑な構造になっている。 このことから付近一帯は地震の巣とも呼ばれる、地震活動が活発な地域である。 さらに茨城県沖は2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震 (Mw9.0) の震源域となっており、同地震(本震)発生直後にはMw7.7の余震と見られる地震も起きている。 地震調査研究推進本部では今後もM7を越える余震が発生する可能性があるとしている。