2020年7月 令和2年7月豪雨

【災害名】 令和2年7月豪雨(れいわ2ねんしちがつごうう) 【時期】 2020年(令和2年)7月3日から7月31日にかけて 【概要】 熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した集中豪雨である。同年7月9日に、当時継続中だった大雨を気象庁が命名し、8月4日に豪雨の期間を7月31日までと発表した。熊本県を中心に被害をもたらしたことから、報道機関等では別称で「熊本豪雨」とも表記している。 【被害状況】 2021年1月14日時点で農林水産に関する被害額は、2208億円となった。・熊本県 (県南地域)・鹿児島県(3日夜から4日昼の豪雨)熊本県を流れる球磨川水系は、八代市、芦北町、球磨村、人吉市、相良村の計13箇所で氾濫・決壊し、約1060ヘクタールが浸水した。 ・長崎県・佐賀県・福岡県・熊本県 (県北地域) ・大分県(6日夕方から7日朝・7日深夜から8日朝の豪雨)福岡県大牟田市では、7月6日午後3時からの3時間で252ミリという「経験したことのない雨量」を観測した。諏訪川は氾濫危険水位に達したが、氾濫は起きなかった。しかし、三川ポンプ場(同市汐屋町)の処理能力を越える雨量だったため、ポンプ場から水が溢れ、内水氾濫が相次いで起きた。筑後川は上流部の大分県内、中流部の福岡県内のそれぞれ一部で氾濫した。また、筑後川流域の福岡県久留米市では支流の山ノ井川や巨瀬川の氾濫により浸水被害がみられた。また内水氾濫の影響による浸水被害もあった。大分県由布市では大分川が庄内町東長宝(小野屋駅周辺)と挾間町下市(天神橋付近)で越流が発生し、市内各地で大分川支流(花合野川、黒川など)の氾濫・土石流や土砂災害も多発したため、災害発生情報が出された。また、大分川では、国直轄水位観測点の由布市の同尻観測所・大分市の府内大橋観測所での水位が観測史上過去最高であった。長崎県大村市では土砂崩れや、小河川の氾濫により道路をふさいで通行不可となった。佐賀県太良町では、6日午後4時半ごろ、民家裏手にて土砂崩れが発生し、2人が負傷した。 ・岐阜県・長野県(7日夜から8日昼の豪雨)岐阜県では8日朝、下呂市萩原町中呂の木曽川水系飛騨川で氾濫が発生した。また、加茂郡白川町河岐の白川、美濃市立花の長良川など県内6河川8カ所で氾濫が発生。高山市朝日町西洞や、瑞浪市釜戸町など県内5カ所で土石流やがけ崩れなど土砂災害も起こっている。長野県内では7月8日午後の段階で、道路への土砂流出などの影響で松本市や長野市、木曽町の3市町の計約390人が一時孤立した。県などは地区に通じる道路の復旧を急いでいる。 ・広島県・島根県(13日夜から14日午前の豪雨)広島県内では14日午前6時ごろ、東広島市河内町宇山で土砂崩れが発生し親子2人が行方不明となり、捜索の結果、同日午後死亡が確認された。島根県では西部を流れる江の川が14日午前9時半ごろ、下流域の江津市川平町と同市桜江町田津で氾濫が発生した。道路や農地の冠水が確認されている。 ・山形県・秋田県(26日から29日の豪雨)山形県では、29日朝までに最上川が大蔵村、大石田町、大江町、村山市の計6か所で氾濫し、多くの住宅で浸水被害が出た また、福部内川などの小河川でも氾濫が相次ぎ田畑や農作物への被害もあった。 【特記事項】 気象庁によると、7月上旬(1-10日)に全国のアメダスで観測した降水量の総和は20万8308.0mm(1地点あたり216.1mm)で、1982年以降の旬ごとで最大だった2018年7月上旬(平成30年7月豪雨(西日本豪雨))の20万7526.5mm(1地点あたり215.3mm)を超えた。また7月上旬に1時間50mm以上の降水が発生した回数は82回で、1982年以降最多だった2019年10月中旬(令和元年東日本台風)の69回を超えた。また気象庁によると、3日から14日(12日間)の全国の総降水量は25万3041.5mmで、23万3453.5mmだった平成30年7月豪雨(11日間)を超えた。

2019年9月 台風19号

【災害名】 令和元年東日本台風(れいわがんねんひがしにほんたいふう、令和元年台風第19号) 【時期】 2019年10月6日~10月13日にかけて 【概要】 令和元年東日本台風(れいわがんねんひがしにほんたいふう、令和元年台風第19号、アジア名:ハギビス/Hagibis、命名:フィリピン、意味:すばやい)は、2019年(令和元年)10月6日3時にマリアナ諸島の東海上で発生し、12日に日本に上陸した台風である。静岡県や関東地方、甲信越地方、東北地方などで記録的な大雨となり、甚大な被害をもたらした。 【被害状況】 この台風の影響で、洪水や土砂に襲われ亡くなった者が続出した。死亡した際の状況が判明した64人を毎日新聞が分析したところによると、住宅内で水や土砂に襲われ死亡したのは27人で4割超を占め、少なくとも3割近い17人が車での移動中に死亡したとされている。もっとも人的被害が大きかったのは福島県で、死者は30名となった。被害が最大となった理由は、阿武隈川流域での多くの河川の氾濫で郡山市、須賀川市、本宮市、伊達市、白河市などで幅広く決壊したためで、2階まで浸水した家屋も多くあった。次いで人的被害が大きかったのは宮城県で19名、特に丸森町での死者数は11名に上った。阿武隈川の支流での破堤や支流の上流での土砂崩れがその要因として挙げられている。台風通過前には、千葉県市原市で10月12日午前8時ごろに竜巻のような激しい突風が吹いたとみられ、横転した軽トラックの中から男性1名が意識不明で発見され、その後、病院で死亡が確認された。静岡県御殿場市では2人が川に流され、1人は救助されたが1人は行方不明となっている。12日には群馬県富岡市の内匠で住宅の裏山が崩れ、2棟が全壊した。同日午後7時ごろに長野県東御市で千曲川にかかる田中橋の近くの道路が陥没し、車3台が転落。 【特記事項】 台風の接近により、関東甲信地方、静岡県、新潟県、東北地方では、各地で3時間、6時間、12時間、24時間の降水量が観測史上1位を更新するなど、記録的な大雨となった。これらの地域では台風が上陸する前から活発な雨雲が断続的に生じ、広範囲で強い雨が降り続けた。特に神奈川県箱根町では、降り始めからの降水量が1,000ミリを超え、10月12日の日降水量も全国歴代1位となる922.5ミリを観測した。また、10月12日の北日本と東日本のアメダスで観測された総降水量は73,075ミリ(1地点あたり119.2ミリ)で、比較可能な613 地点で1982年以降の1日の降水量として最多となった。

2019年9月 台風15号

【災害名】 令和元年房総半島台風(れいわがんねんぼうそうはんとうたいふう、令和元年台風第15号) 【時期】 2019年(令和元年)9月5日~9月10日にかけて 【概要】 令和元年房総半島台風(れいわがんねんぼうそうはんとうたいふう、令和元年台風第15号、アジア名:ファクサイ/Faxai、命名:ラオス、意味:女性の名前)は、2019年(令和元年)9月5日に発生した台風。関東地方に上陸したものとしては観測史上最強クラスの勢力で9月9日に上陸し、千葉県を中心に甚大な被害を出した。この台風により、首都圏やその周辺などの台風災害に対する脆弱性が改めて浮き彫りとなった。   【被害状況】 総務省消防庁が2020年9月30日12時00分に発表したところによると、東京都と千葉県での死者9人、埼玉県と千葉県、神奈川県、茨城県での重傷者20人を含む、1都6県で160人が重軽傷を負った。台風通過時には、東京都世田谷区で50代の女性が強風にあおられて壁に頭を打ちつけたことで死亡した。 総務省消防庁のまとめでは、住宅被害は千葉県を中心に9万棟を超えており、このうち9割以上が一部破損である。関東の広い地域で工事現場の足場が崩れる被害が見られた。伊豆諸島では、少なくとも6島で600棟以上の建物が損壊した。新島ではその中でも特に被害が大きく、全壊7軒、半壊14軒、一部損壊418軒となり、400棟以上が損壊した。伊豆大島では、150棟を超える住宅が壊れたが、被害の全容が把握できていないという。 【特記事項】 ウェザーニューズの調査によると、台風の中心付近から半径約40kmの範囲で約7hPa/10km以上の気圧傾度であり、特に中心から半径約20kmの範囲では約9hPa/10kmと、急激な気圧傾度がみられた。大阪を中心に暴風をもたらした平成30年台風第21号では大阪での気圧傾度が約5hPa/10kmであり、それ以上に大きい気圧傾度であった。この急激な気圧傾度が台風の中心付近で記録的な強風になった要因と推察される。

2019年8月 九州北部豪雨

【災害名】 令和元年8月の前線に伴う大雨(れいわがんねん8がつのぜんせんにともなうおおあめ) 【時期】 2019年(令和元年)8月27日から佐賀県と福岡県、長崎県を中心とする九州北部で発生した集中豪雨 【概要】 長崎県から佐賀県、福岡県にかけての広い範囲で、秋雨前線の影響で線状降水帯が発生し、8月28日を中心として各地で観測史上1位の値を更新する記録的な大雨となった。気象庁は8月28日早朝に、3県に大雨の特別警報を発表した。 【被害状況】 発表および報道によると、福岡県八女市で1名と佐賀県武雄市で3名が死亡となっている。大雨により福岡県の巨瀬川、佐賀県の牛津川、松浦川、長崎県の江迎川が氾濫、洪水が発生した。その他、福岡県南部や佐賀市などの市街地でも広範囲に冠水、佐賀駅構内なども浸水した。佐賀県多久市、小城市、杵島郡大町町、武雄市北方町などでも洪水により浸水、住民などが一時孤立した。ほか、福岡県で豪雨により直接、河川の堤防の斜面が一部崩れる被害も出たが、それによる決壊は無かった。佐賀、長崎、福岡の3県のほか、大分県日田市、中津市などでも一部土砂崩れや浸水による被害があった。佐賀市で28日時点、750世帯で断水、30日に解除。ほか、27日から30日にかけて福岡県八女市、長崎県佐世保市、壱岐市など合計2,915世帯で浄水場冠水や配水管破損のため断水した。雷や倒木、土砂災害により佐賀市、武雄市、小城市など320戸で27、28の両日に最大15時間停電。福岡県でも約360戸で停電した。 【特記事項】 27日から29日にかけて対馬海峡に秋雨前線が停滞し、集中豪雨をもたらす線状降水帯が生じた。28日5時50分、気象庁は佐賀県と福岡県、長崎県に大雨特別警報を発表した。対象地域の佐賀県は全域、福岡県は筑後地方(北部、南部)、長崎県は北部(平戸・松浦、佐世保・東彼)。この特別警報は、28日午後に解除された。29日には 長崎地方気象台が長崎県壱岐市で「50年に一度の大雨となっている」と発表した。福岡管区気象台などによると、台風11号から変わった中国大陸の低気圧、フィリピンで発生中の台風12号、日本はるか南の太平洋高気圧の3つの気象要因が重なり、九州北部の秋雨前線に大量の湿気を含んだ暖気が流入した事によると言う。

2018年9月 北海道胆振東部地震

【災害名】 北海道胆振東部地震(ほっかいどういぶりとうぶじしん) 【時期】 2018年(平成30年)9月6日3時7分(日本時間) 【概要】 地震の規模はMj6.7、震源の深さは37 km(いずれも暫定値)。最大震度は、震度階級でもっとも高い震度7で、北海道では初めて観測された。気象庁は同日、この地震を「平成30年北海道胆振東部地震」と命名した。 【被害状況】 震度7厚真町鹿沼震度6強厚真町京町・安平町早来北進・安平町追分柏が丘・むかわ町松風・むかわ町穂別震度6弱札幌東区元町・新千歳空港・日高地方日高町門別・平取町振内震度5強札幌北区太平・札幌北区篠路・札幌北区新琴似・札幌白石区北郷・札幌手稲区前田・江別市緑町・札幌清田区平岡・千歳市北栄・千歳市若草・千歳市支笏湖温泉・恵庭市京町・三笠市幸町・長沼町中央・苫小牧市旭町・平取町本町・新冠町北星町・新ひだか町静内山手町・新ひだか町静内御幸町震度5弱石狩市花川・石狩市聚富・石狩市花畔・新篠津村第47線・札幌豊平区月寒東・札幌西区琴似・札幌厚別区もみじ台・江別市高砂町・恵庭市漁平・北広島市共栄・函館市新浜町・岩見沢市栗沢町東本町・南幌町栄町・由仁町新光・栗山町松風・胆振伊達市大滝区本町・室蘭市寿町・苫小牧市末広町・登別市桜木町・白老町大町・白老町緑丘※震度5弱以上が観測された気象庁の発表地点震源に近い勇払郡厚真町では土砂崩れに巻き込まれた36人が死亡した。特に吉野地区では多くの住宅が巻き込まれ、吉野地区の住民34人のうち19人が亡くなった。厚真町、安平町、むかわ町では多くの住宅が倒壊した。このほか、道央地域(石狩、胆振総合振興局管内)を中心に道路などの損壊が相次いだ。札幌市清田区では、液状化現象が発生し道路が波打ち状に大きく損壊、住宅が傾いたりした。 【特記事項】 当初、震度速報では厚真町、むかわ町、日高町、平取町、新冠町の震度データが入電されず、安平町で観測した震度6強を最大震度として発表したが、その後の入電により震度7(計測震度6.5)を厚真町鹿沼で観測していたことが分かった。震度7を観測したのは、2016年の熊本地震以来2年ぶり、観測史上6回目。このほか、震度6強を厚真町京町、安平町、むかわ町で観測した。また、気象庁の震度推計分布図によると、北海道安平町および千歳市で局地的に震度7相当の揺れがあったと推定されている。このほかにも防災科学技術研究所の強震観測網によると、北海道安平町(発表震度6強)にある追分観測点で震度7相当の揺れ(計測震度6.7)を観測していたことが分かっている。これらのデータを元にしたJ-RISQ地震速報による推定震度では、厚真町(発表震度7)、安平町(発表震度6強)、むかわ町(発表震度6強)、千歳市(発表震度6弱)では局地的に震度7相当の揺れがあったと推定されている。また、日高町(発表震度6弱)、栗山町(発表震度6弱)、苫小牧市(発表震度5強)では局地的に震度6強を観測したと推定されている。ただしいずれも気象庁の震度発表対象ではないため、観測点の震度には反映されていない。札幌市東区も当初はデータが入電されていなかったが、9月7日午後に震度6弱であることが確認された。札幌市で震度6以上を観測するのは史上初である。

2018年7月 豪雨

【災害名】 平成30年7月豪雨(へいせい30ねん7がつごうう) 【時期】 2018年(平成30年)6月28日から7月8日にかけて 【概要】 6月29日に発生した台風7号は、太平洋高気圧の外側を回り込むように7月4日にかけて東シナ海を北上し、九州地方では台風の影響による雨が7月3日ごろから降り続いた。台風は対馬海峡付近で進路を北東に変えて日本海上に抜けたが、太平洋高気圧が張り出した影響で梅雨前線が7月2日から4日頃に北海道に停滞し、北海道の広範囲で雨量が7月の月降水量の平年値を超えた。その後、太平洋高気圧が南東に移動したことで梅雨前線が南下。7月5日から8日にかけて梅雨前線が西日本付近に停滞し、そこに大量の湿った空気が流れ込んだため、西日本から東海にかけて大雨が連日続いた。 【被害状況】 広島県法面が崩落した国道2号西条バイパス(広島県東広島市)広島県では、土砂崩れや浸水による被害が相次いだ。県の南部では土石流・土砂崩れが5,000箇所以上で発生(16日)。通常は崩落しにくい山頂部の崩壊も多発し、豪雨の凄まじさを裏付けた。県の住宅被害は浸水も含めると19日までに、38,000棟に及んでいる。安芸郡熊野町川角では、住宅の裏山が崩れて斜面沿いの住宅に押し寄せ、12人が死亡した。 広島市では、23人が死亡、2人が行方不明となっている。安芸区矢野東では、土砂崩れにより約20棟の住宅が倒壊ほか、矢野川では土石流により死者も出た。安佐北区でも土砂崩れにより3人が死亡したほか、東区馬木でも土砂災害が発生し、1人が死亡した。安芸郡坂町小屋浦地区の天地川では土石流が砂防ダムを破壊し、大量の土砂が住宅を襲い15人が死亡、1人が行方不明。また坂町中心部の坂駅付近が冠水した。 呉市では土砂崩れなどにより24人が死亡。呉市と広島市や東広島市がつながる道路が寸断され、JR呉線も不通となったため、孤立状態となり、呉港と広島港を結ぶ海路の利用が増えた。安浦町では約58haにわたって浸水し、760戸の住宅で被害が出た。東広島市河内町で、土石流が砂防ダムを超えて集落を襲った。同市西条町下三永では裏山が崩れて住宅が数十メートル流された。同市安芸津町木谷でも住宅が土砂に埋まった。三原市では土砂崩れで住宅が押し潰されたほか、本郷町で沼田川とその支流が氾濫し約700ヘクタールが浸水するなど8人が死亡した。竹原市では東野町と新庄町、港町の土砂崩れなど6人が死亡、4人が負傷した。市内を流れる賀茂川の氾濫もあり全壊35件、建物床上浸水35件、床下浸水232件の被害が出た。福山市では駅家町で農業用ため池が決壊し土砂崩れに巻き込まれるなど2人が死亡した。芦田川や手城川の支流では内水氾濫が発生したとみられ、市内の約20平方キロメートルが浸水した。安芸郡府中町では晴天下の10日11時頃、榎川が氾濫し町内の10ヘクタールが浸水した。 岡山県小田川決壊現場。自動車が決壊箇所に落ち込んでいる。岡山県では河川の氾濫や堤防の決壊による浸水、土砂災害が相次いだ。全半壊・浸水家屋の数は19日時点で少なくとも14,000棟にのぼり、県内の風水害による被害としては戦後最悪となった。 倉敷市の被害倉敷市真備町では7日朝までに小田川と支流の高馬川などの堤防が決壊し、広範囲が冠水。土木学会の調査によると、浸水の深さは南北1km・東西3.5kmの範囲で5メートルを超え、最大で5.4メートルに達したとみられる。浸水範囲は真備町の4分の1にあたる1,200ヘクタールに及んだ。国の調査委員会の見解によると、小田川では合流先の高梁川の増水に伴い水がせき止められるバックウォーター現象が発生し、越水により堤防の外側が削られ決壊したとみられる。真備町における堤防の決壊箇所は小田川で2箇所、支流の高馬川で2箇所、末政川で3箇所、真谷川で1箇所が確認され、小田川では他にも6箇所で法面の崩落が確認されている。 倉敷市を除く県内各地の被害岡山市では河川の氾濫などによる浸水家屋の数が7,645棟に上ったほか、土砂災害も相次いだ。東区沼では7日未明に旭川水系の砂川の堤防が決壊し、平島地区付近一帯の住宅2,230棟が浸水した。岡山県の調査によると平島地区の浸水範囲は約750ヘクタール、浸水の深さは最大約1.5メートルに達したとみられる。笠岡市茂平では7日朝、自動車部品会社の工場の裏山が崩れて土砂が流れ込み、6人が巻き込まれ2人が死亡。このほか笠岡市内で1人が死亡し、笠岡市北部の北川地区などで約380棟が浸水した。井原市では小田川の支流が決壊するなど市内で約300棟が浸水し、2人が死亡。小田郡矢掛町でも小田川の本流と支流が決壊し約600棟が浸水した。総社市内では昭和地区などの浸水と同市下原のアルミ工場爆発事故が重なり、被災家屋は968棟に上った。高梁市落合町でも6日夜に冠水が発生し、コンビニや老人ホームでは水から逃れようと利用者等が上階や屋根に登るなどして救助を待った。山陰地方島根県の江の川流域で200棟以上が床上浸水した。島根県は11日、江津市、川本町、美郷町に職員を派遣し、復旧などを手伝った。また川本町では浄水場の冠水により280戸が断水状態となった。 四国地方愛媛県では、西予市野村町で7日朝、野村ダムが満水に近づいたため緊急放流を行なったところ肱川が氾濫し、逃げ遅れた5人が死亡した。西予市によると、7日5時10分に防災行政無線で住民に避難指示を周知したという。国土交通省四国地方整備局によると、6時20分からダムへの流入量と同じ量の放出を開始し、6時20分時点で毎秒439立方メートルで放流していたのが7時50分には毎秒1797立方メートルに達した。またその下流にある鹿野川ダムでも、7時35分から流入量とほぼ同じ水量を放流する措置を取り、大洲市で川が氾濫した。大洲市では8日、概算で4600世帯の家屋浸水に及ぶ見通しを示し、二宮隆久市長は「今回の被災はかなり大きい」と述べ、平成以降最大規模との認識を強調した。宇和島市吉田町では7日、多数の土砂崩れが発生し11人が死亡し。松山市の怒和島では7日0時50分頃、住宅の裏山が崩れて1棟が倒壊し、3人が死亡した。 高知県では、香南市で6日朝、1人が香宗川で流され西に約100キロ離れた四万十市の海岸で遺体で発見された。大月町では2人が亡くなり、県内で計3人が死亡した。 安芸市では、6日未明に市内を流れる安芸川が栃ノ木地区で氾濫し、川沿いの東地の集落では約10棟が浸水被害に遭い、21人が一時孤立した。 九州地方・山口県山口県では7日までに、岩国市周東町で家の中に土砂が入り1人が死亡、また土石流に家ごと流されて1人が死亡、同県周南市では土砂で家が倒壊し1人が死亡。 福岡県では、6日朝に北九州市門司区で崖崩れが発生し住宅が全壊し2人が死亡。また7日までに、同県糟屋郡宇美町在住の1人が山中にあった老健介護施設から避難中に土石流に巻き込まれ死亡、筑紫野市原田の水路で発見された。6日には、北九州市小倉北区の板櫃川や久留米市北野町の大刀洗川など複数の河川が氾濫し、うち久留米市では広範囲が浸水、7日までに約1000棟(うち久留米市北野町地区で約500棟)が浸水被害を受け、ボートによる救助活動が行われた。北九州市では9日までに土砂崩れなどにより約680棟が被害を受けた。 佐賀県では12日までに、佐賀市大和町で嘉瀬川に流された1人が死亡、伊万里市で1人が死亡した。伊万里市の1人は長崎県松浦市の海岸まで約6km流され発見された。宮崎県では12日までに、1人の遺体が発見され、豪雨との関連を調べている。 近畿地方兵庫県の猪名川町で5日、物流センターの工事現場で作業員3人が排水管に流され、うち1人が死亡し2人が重傷を負った。宍粟市では土砂崩れにより住宅が押しつぶされ1人が死亡した。丹波市では市内各地で浸水被害が多発した。 京都府では、綾部市で土砂崩れで住宅が倒壊し3人が亡くなった。亀岡市では、川に車が流され1人が死亡。舞鶴市では自宅で土砂の除去作業中に行方不明になった男性が舞鶴湾で遺体で見つかった。福知山市大江町公庄では9日、土砂崩れにより谷河川がせき止められて天然ダムができていることが分かった。府内では舞鶴市や福知山市など、計2000棟以上で浸水被害が出た。舞鶴市の由良川流域では雨水などの内水が由良川へ流せずに浸水被害が発生。道路の冠水により舞鶴市加佐地域全域の1828世帯が一時孤立した。また道路の寸断も相次ぎ、伊根町全域が孤立したほか、6市町13地区が孤立状態となった。 中部地方岐阜県でも、関市をはじめ郡上市、下呂市などの中山間部で降り始めからの雨量が1000ミリを超える地点もあり、各地で土砂流出や道路の冠水、河川の護岸崩壊などの被害が相次いだ。関市では8日未明に津保川が氾濫、東部の旧上之保村・武儀町域を中心に225棟が床上浸水、270棟が床下浸水した。また用水路に車が横転し男性が死亡した。郡上市でも和良町の和良川沿いに建つ和良振興事務所周辺では、護岸が幅約200メートルにわたり崩れた。また下呂市でも6世帯15人が孤立。関市を中心に岐阜県内のJR高山線や東海北陸自動車道、中部縦貫自動車道などが寸断された。長野県では8日朝に王滝村で王滝川が増水し、幅約5メートルの村道が60メートルに渡り崩落した。 北海道北海道では堤防の決壊や内水氾濫に伴う床上・床下浸水、崖崩れ等の被害が出た。旭川市でぺーパン川が2回氾濫したほか、旭川市と深川市で石狩川が、沼田町と深川市で雨竜川が3日、氾濫した。オホーツク管内遠軽町では湧別川にかかる「いわね大橋」で橋脚に異常が発生し橋が折れ、上川管内東川町の天人峡温泉では道道の一部崩落で3日から宿泊客等130人が孤立。旭川市を中心に道内で132棟の建物に被害が出た。 【特記事項】 この豪雨により、西日本を中心に多くの地域で河川の氾濫や浸水害、土砂災害が発生し、死者数が200人を超える甚大な災害となった。また、全国で上水道や通信といったライフラインに被害が及んだほか、交通障害が広域的に発生している。平成に入ってからの豪雨災害としては初めて死者数が100人を超え、「平成最悪の水害」と報道された。さらに、昭和にさかのぼっても1982年に300人近い死者・行方不明者を出した長崎大水害(昭和57年7月豪雨)以降、最悪の被害となった。

2018年6月~8月 猛暑

【災害名】 2018年の猛暑(2018ねんのもうしょ) 【時期】 2018年(平成30年)の6~8月にかけて 【概要】 2018年の猛暑(2018ねんのもうしょ)は、2018年(平成30年)の夏に日本の東日本・西日本を襲った記録的な高温(猛暑)。夏(6-8月)の平均気温は、東日本(関東甲信・東海・北陸)で平年比+1.7℃となり、1946年の統計開始以降、最も高くなった。西日本でも平年比+1.1℃で、統計開始以降第2位だった 【被害状況】 日最高気温(全国歴代20位以内)•41.1℃ - 埼玉県熊谷市 (全国歴代1位・7月23日)•41.0℃ - 岐阜県下呂市金山 (同2位・8月6日)•41.0℃ - 岐阜県美濃市 (同2位・8月8日)•40.8℃ - 東京都青梅市 (同6位・7月23日)•40.8℃ - 新潟県胎内市中条 (同6位・8月23日)•40.4℃ - 新潟県三条市 (同13位・8月23日)•40.3℃ - 愛知県名古屋市 (同15位・8月3日)※順位は当時のもの。連続猛暑日•20日間連続 - 福岡県久留米市 (7月9日から7月28日)•16日間連続 - 広島県安芸太田町加計 (7月12日から7月27日)期間ごとの記録•7月 - 月平均気温の最高値を47地点で更新、6地点でタイ記録となった。月降水量の最低値を1地点で、月間日照時間の最高値を5地点で、最低値を1地点で更新した。日最高気温が91地点で記録更新され、17地点でタイ記録となった。 【特記事項】 気象庁の8月10日時点での分析によると、7月中旬以降の記録的な高温の要因は、太平洋高気圧とチベット高気圧がともに日本付近に張り出し続けたことにあり、これによって安定した晴天が続いて気温が上がった。これらの高気圧が日本に張り出したのには、亜熱帯ジェット気流が北に大きく蛇行し続けたことと、フィリピン付近での積雲対流活動が盛んだったことが影響したという。

2018年6月 大阪北部地震

【災害名】 大阪府北部地震(おおさかふほくぶじしん) 【時期】 2018年(平成30年)6月18日7時58分39秒 【概要】 大阪府北部地震(おおさかふほくぶじしん)は、2018年(平成30年)6月18日7時58分39秒に、日本の大阪府北部を震源として発生した地震。地震の規模はMj6.1で、震源の深さは13キロメートル (km)(ともに暫定値)。最大震度6弱を大阪府大阪市北区・高槻市・枚方市・茨木市・箕面市の5市区で観測した。公的機関では「大阪府北部を震源とする地震」や「大阪府北部の地震」などと呼称されている。報道機関等では「大阪北部地震」、「大阪地震」とも表記している。 【被害状況】 2019年8月20日までの総務省消防庁の集計によると、大阪府内で死者6名、2府5県で負傷者462名(うち重傷者62名)、住家の全壊21棟・半壊483棟・一部破損6万1266棟・床上浸水3棟・床下浸水3棟、火災は大阪府と兵庫県で7件確認されている。死者は高槻市および茨木市、大阪市、箕面市で発生している。このうち箕面市の1名は、地震で持病が悪化して地震当日に亡くなったもので、災害関連死に認定されている。地震保険の支払額は10月11日時点で946億円を超え、東日本大震災、平成28年熊本地震に次いで第3位となった。 震度5弱以上が観測された気象庁の発表地点震度6弱大阪府 大阪北区茶屋町・高槻市立第2中学校・枚方市大垣内・茨木市東中条町・箕面市粟生外院震度5強大阪府 大阪都島区都島本通・大阪東淀川区北江口・大阪旭区大宮・大阪淀川区木川東・豊中市曽根南町・豊中市役所・吹田市内本町・高槻市桃園町・高槻市消防本部・寝屋川市役所・箕面市箕面・摂津市三島・交野市私部・島本町若山台京都府 京都中京区河原町御池・京都伏見区向島・京都伏見区久我・京都西京区大枝・亀岡市余部町・長岡京市開田・八幡市八幡・大山崎町円明寺・久御山町田井震度5弱大阪府 大阪福島区福島・大阪此花区春日出北・大阪港区築港・大阪西淀川区千舟・大阪東淀川区柴島・大阪生野区舎利寺・大阪国際空港・池田市城南・守口市京阪本通・大東市新町・四條畷市中野・豊能町余野・能勢町役場京都府 京都伏見区竹田・京都伏見区醍醐・京都伏見区淀・京都西京区樫原・宇治市宇治琵琶・宇治市折居台・亀岡市安町・城陽市寺田・向日市寺戸町・京田辺市田辺・井手町井手・精華町南稲八妻・南丹市八木町八木滋賀県 大津市南郷兵庫県 尼崎市昭和通・西宮市宮前町・西宮市平木・伊丹市千僧・川西市中央町奈良県 大和郡山市北郡山町・御所市役所・高取町観覚寺・広陵町南郷 【特記事項】 地震当日に時事通信などマスメディア各社は「気象庁が1923年(大正12年)に観測を開始して以来、大阪府で震度6弱以上の揺れを観測したのは初めて」と報道した。しかし、この間に震度の観測法や観測点の密度は大きく変わっており、過去の地震で観測された震度などの情報と本地震を単純に比較することはできない。また、気象庁震度階級が大きく変わる契機となった1995年の兵庫県南部地震では、気象庁の現地調査により大阪府の一部地域(大阪市西淀川区佃・豊中市庄本町・池田市住吉)が震度6であったと判定されている。なお、大阪府内で震度5弱以上の揺れを観測したのは、この5年前に淡路島で起きた地震以来のことであった。

1716年~2018年3月 新燃岳の噴火

【災害名】 新燃岳の噴火(しんもえだけのふんか) 【時期】 1716年~2018年3月7日 【概要】 霧島山最高峰である韓国岳と霧島山東部に聳える霊峰高千穂峰の中間付近に位置し、獅子戸岳と中岳の間に割り込むようにして聳えるなだらかな円錐台形の火山であり、山頂に直径750mの円形火口を有する。 火口底には平成噴火前まで直径150メートル (m)、水深30mの青緑色を呈する火口湖の新燃池が存在していた。地質は輝石安山岩からなる基盤山体の上に火砕丘が重なった構造となっている。 平成噴火前まで高千穂河原から中岳を経由した登山道が整備され、山頂付近の植生はススキを中心とした草原となっており、所々に低木のミヤマキリシマ群生地が散在していた。 当時も火山活動によってしばしば登山禁止の措置がとられる。 【被害状況】 享保噴火 1716 - 1717年の一連の噴火活動は水蒸気爆発に始まりマグマ水蒸気爆発からマグマ噴火へと変化し断続的に約1年半続いた。火砕物降下によるマグマ噴出量は0.07DREkm3。火山爆発指数:VEI4 享保年間の活動は、第1期(1716年4月10日,5月7日)、第2期(9月26日)、第3期(11月9日)、第4期(12月)、第5期(1717年2月)、第6期(3月から4月)、第7期(9月6日)の7期に分けられる。 この一連の活動では第3期において最大の人的経済的被害を生じ、死者5名、負傷者31名、神社・仏閣焼失、焼失家屋600余軒、牛馬405頭死などの記録が残っている。 文政噴火 1822年1月12日(文政4年12月20日)朝、山頂付近に白煙が観察され、夕方に水蒸気爆発を伴って噴火した。14日(22日)には南方を流れる天降川で火山泥流が発生している。 8合目付近に新しい4カ所の火口が形成され、軽石や火砕流の噴出を伴う噴火が繰り返された。 昭和噴火 1959年(昭和34年)、中規模噴火。火山爆発指数:VEI2。 2月13日、降灰を伴う小規模な水蒸気噴火があった。噴火に先立つ前兆現象は観測されていない。小規模爆発の後、14:50に爆発的噴火が発生。 2月17日14時50分、爆発音と空振を伴って噴火が始まり、黒色の噴煙が上空4,000mに達した。その後数日間にわたって噴火を繰り返した後、次第に終息していった。 噴出物にマグマの成分を含まない水蒸気爆発であり、噴火のエネルギーは101Jであった。新燃池の北西岸から火口壁を越えて山腹に至る直線上に約20個の小火口が形成され、噴出した噴石は1万t、火山灰は860万t。 1991 - 2010年の活動 2003年の山頂火口。火口底には池があった その後しばらく顕著な活動は観測されず、表面的には平穏であったか、1991年に噴気活動を再開して以降、2005年から2007年にかけてGPS観測で山体膨張が観測されたほか時折、地震活動の高まりが生じていた。 2008年に山頂直下の火山性地震が増加し、17年ぶりに水蒸気噴火が起こった。 2005年9月から2007年9月には山頂部が膨張し、2007年9月から2009年12月頃までは山頂部は収縮に転じたが、再び広い範囲で膨張が起こり2011年1月の噴火に至った。 観測データ解析の結果、山頂部膨張の圧力源は山頂直下610m(標高790m)で体積は88*103m3程度と求められた。深い場所のマグマ溜まりへのマグマの蓄積は2006年から2009年12月ころには始まっていたと考えられている。 2008年(平成20年)8月22日、小規模な水蒸気噴火が発生。噴出量は約20万トンと推定。噴火警戒レベルが2に引き上げられた。その後噴火は発生せず、10月29日に噴火警戒レベル1に引き下げられた。 2009年(平成21年)4月下旬頃、新燃池の色がエメラルドグリーンから茶色に変色し、7月初旬頃に再び元に戻る現象が見られた。 2010年(平成22年)3月30日、小規模な噴火を確認、噴火警戒レベルが2に引き上げられ、火口周辺1km立ち入り規制が敷かれた。 その後、断続的な火山性地震及び火山性微動と、5月から7月にかけ火口外へ影響を及ぼさない小規模な噴火活動が観測された。5月27日の噴出物からは微量のガラス質のマグマ由来物出を検出。

2017年7月 九州北部豪雨

【災害名】 平成29年7月九州北部豪雨(へいせい29ねん7がつきゅうしゅうほくぶごうう) 【時期】 2017年(平成29年)7月5日から6日にかけて 【概要】 平成29年7月九州北部豪雨(へいせい29ねん7がつきゅうしゅうほくぶごうう)は、2017年(平成29年)7月5日から6日にかけて福岡県と大分県を中心とする九州北部で発生した集中豪雨。 被害の規模は気象庁が豪雨について命名する基準(損壊家屋、浸水家屋の数)を下回ってはいたものの、人的被害が大きいことから、同年7月19日付で命名された。 【被害状況】 ・雨量の記録1時間雨量福岡県朝倉市朝倉:129.5mm(7月5日15時38分まで。観測史上1位を更新)大分県日田市日田:87.5mm(7月5日18時44分まで)長崎県南島原市口之津:82.0mm(7月6日6時35分まで。観測史上1位を更新)福岡県朝倉市寺内(福岡県設置の雨量計):169mm(7月5日15時20分まで)3時間雨量福岡県朝倉市朝倉:261.0mm(7月5日15時40分まで。観測史上1位を更新)大分県日田市日田:186.0mm(7月5日20時20分まで。観測史上1位を更新)福岡県朝倉市付近:約400mm(7月5日18時まで。解析雨量)9時間雨量福岡県朝倉市黒川(北小路公民館、県設置):778mm(7月5日20時50分まで。)12時間雨量福岡県朝倉市付近:約900mm(解析雨量)24時間雨量福岡県朝倉市朝倉:545.5mm(7月6日11時40分まで。観測史上1位を更新)大分県日田市日田:370.0mm(7月6日10時50分まで。観測史上1位を更新)福岡県朝倉市付近:約1000mm(7月6日8時まで。解析雨量)福岡県東峰村付近:約600mm(7月6日8時まで。解析雨量)福岡県大刀洗町付近:約600mm(7月6日10時まで。解析雨量)大分県日田市付近:約600mm(7月6日8時まで。解析雨量)72時間雨量福岡県朝倉市朝倉:616.0mm(7月7日6時0分まで。観測史上1位を更新)大分県日田市日田:447.0mm(7月7日6時10分まで) 2018年6月1日現在、消防庁によると、福岡県で37人(朝倉市で34人、東峰村で3人)、大分県日田市で3人の計40人の死亡が確認されている。また福岡県朝倉市で2人が行方不明になっている。住宅被害は、福岡県と大分県の合計で、全壊336棟、半壊1096棟、一部破損44棟、床上浸水180棟、床下浸水1481棟となっている(ただし台風3号による被害も含まれている)。静岡大学防災総合センター教授の牛山素行の調査によると、死者・行方不明者の被災原因は土砂災害が23人、洪水が18人だった。多数の家屋が洪水で流失しており、洪水の犠牲者が多いにもかかわらず多く(30人)が屋内で被災していることが、この豪雨災害の特徴である。河川の氾濫福岡県朝倉市では、蜷城地区で桂川が氾濫し。添田町で彦山川が氾濫した。大分県日田市では大肥川の一部が溢れ、一部地区の孤立が生じた。日田市では花月川も氾濫した。被災地には大量の流木が見られ、河川に流れ込んだ総量はおよそ20万トン、36万立方メートルにのぼると推定されている。土砂崩れでなぎ倒された杉などの木が川を流れ下り、川の流れをせき止めて氾濫させた。住宅地に押し寄せた流木によって、水流だけの場合よりも破壊力が増し、家屋に大きな被害をもたらした。 【特記事項】 7月4日まで北陸付近にあった梅雨前線が、7月5日から朝鮮半島から西日本付近に南下。5日朝方、島根県西部で発達した雨雲が帯状に連なる線状降水帯が発生し、記録的な降水となった。気象庁は5日5時55分、島根県(西部の浜田市・益田市・邑南町・津和野町)に大雨特別警報を発表した。5日午後には、福岡県筑後地方北部で次々と積乱雲が発生し、発達しながら東へと移動して線状降水帯が形成された。このため、同じ場所で長時間猛烈な雨が降り続いた。福岡県朝倉市、うきは市、久留米市、東峰村、佐賀県鳥栖市、大分県日田市などで1時間に100mmを超える雨量がレーダー観測から解析された。特に、朝倉市付近では3時間で約400mm、12時間で約900mmの雨量が解析され、気象庁以外が管轄する雨量計では、朝倉市寺内で5日15時20分までの1時間降水量169mm、朝倉市黒川(北小路公民館)の雨量計では5日20時50分までの9時間降水量778mm(1時間平均で約86mm)を観測した。この1時間降水量は自治体観測を含めた日本記録187mm(長崎県長与町・1982年長崎大水害)に迫るものであり、また9時間降水量では12時間降水量の気象庁観測日本記録695.0mm(高知地方気象台・1998年高知豪雨)を大きく上回っており、9時間という時間範囲内で見れば、朝倉市の山間部の降水強度は日本の気象観測史上でも最大級のものであった。5日17時51分、気象庁は「甚大な被害の危険が差し迫っている」として、福岡県の筑後地方と筑豊地方を中心とする地域に大雨特別警報を発表した。さらに19時55分には、大分県のほぼ全域にも大雨特別警報を発表した。7月6日3時10分、気象庁は大雨特別警報の対象範囲として福岡県の5市2町を追加し、これで福岡県の大部分と大分県のほぼ全域が対象となった。