火災保険の免責はつけるべきか?

 火災保険における「免責」は意味が複数あり、調べるほど混乱しやすい部分です。免責の1つである「免責金額」は設定することで保険料を抑えられるというメリットがあります。しかし、実際に保険金の支払いがされた時は、つけるのをやめればよかったと後悔することもしばしばです。 「火災保険の免責って何?」「どんな得があるの?」 という疑問を持っている方に向けて、詳しく解説いたします。 【火災保険で知っておきたい「免責」の基本情報 ◆火災保険の免責には「2つの意味」がある 火災保険における「免責」には2種類あり、混乱しがちです。まずはその違いを知っておきましょう。 ・免責金額:契約時に設定する金額で、免責金額を下回る場合は補償されない ・免責事由:故意に事故を起こした場合など、「こういうケースは補償しません」という意味 今回は、「免責金額」について詳しく解説していきます。 ◆免責金額は保険会社によって違う 免責金額は5万円~10万円に設定する人が多いですが、保険会社によって金額は異なります。 そのため、「免責金額は8万円にしたいな」と思っても、5万円・10万円と区切られている場合は、 細かい希望金額に設定できないこともあります。 ◆免責金額は「支払えそうな額」に設定するべき 後ほど詳しくご紹介しますが、火災保険加入時に免責金額を高く設定すれば、その分月々の保険料は抑えられます。 だからといって免責金額を高額にすると、免責金額を下回る場合はいっさい補償されません。 つまり、毎月火災保険料を支払っていても、すべて自分で支払わなければいけません。 【火災保険では免責なしにするとどうなるのか?】 ◆免責なしは保険料が上がる 火災保険では、免責金額を設定せず「免責なし」にもできます。 免責なしの場合、たとえば2万円など少額のケースでも全額補償されるので、万が一の時に「お得感」があります。 しかし、その分月々に支払う保険料は高くなります。 ◆免責を設定すると保険料と「お得感」が下がる 免責金額を高く設定していると、免責金額を下回ってしまった場合は保険金が下りません。 免責金額を設定すると少額の補償請求処理を行う手間が省けるので、その分保険会社は保険料を割安にしてくれているのです。 「月々の保険料が下がる!」というお得感がある分、実際に火事や事故があった場合はお得感が少なくなるでしょう。 ◆免責金額を設定した際の補償例 火災保険の具体的な補償例として、免責金額を「10万円」と設定した場合のケースを見てみましょう。 <例>窓ガラスが割れて、修理代金が「15万円」となった場合 ・免責金額なしの場合→15万円分が「全額補償」される ・免責金額ありの場合→免責金額で設定した10万円を差し引いた、「5万円分のみ」補償される このように、火災保険で免責金額を設定した場合は、「免責金額を超えた分のみ」が補償されるのです。 【火災保険の免責方法は2つある】 ◆フランチャイズ方式 ちょっと細かい話になりますが、火災保険の免責方法については2種類あります。 1つ目は「フランチャイズ方式」といって、昔の火災保険で一般的な免責方法でした。今では「金融自由化」といって金融会社が免責金額を設定できますが、ひと昔前はどの会社も一律で 「20万円」と決まっていました。 そのため「20万円フランチャイズ方式」などと呼ばれ、どの保険会社でも損害額が20万円でした。現在長期で火災保険に加入している場合は、フランチャイズ方式になっている商品もあります。 フランチャイズ方式の場合、免責金額が「20万円」を超えたらその時点ですべてが補償されます。 すこしややこしいので、具体例でご紹介します。 <ケース①>窓ガラスが割れて修理費が「15万円」になった場合 →免責金額である20万円を下回るので、補償はされません。 <ケース②>窓ガラスが割れて修理費が「25万円」になった場合 →免責金額である20万円を超えるので、全額の「25万円」が補償される。 ◆エクセス方式(免責方式) フランチャイズ方式が緩和されたのが、「エクセス方式(免責方式)」です。 フランチャイズ方式のように免責金額に決まりはなく、3万円や5万円など自由に設定できます。 つまり、火災保険加入時に免責金額を選べる商品は、エクセス方式と考えて大丈夫です。 ここ数年の間に火災保険を更新した人や新たに加入した人は、ほとんどがエクセス方式となっています。 エクセス方式の場合の補償形式は、「免責金額を設定した際の補償例」の章でご紹介したケースと同じとなります。 ◆加入する火災保険をよく確認しよう 火災保険加入時に免責金額はしっかり説明されるものの、免責方式の違いについては説明がないケースもあります。 説明がなかった場合は自分から質問して、きちんと確認しておきましょう。 【まとめ】 火災保険の免責金額は、月々の保険料が安くなります。 だからといって免責金額を上げると、少額の補償がされないためにお得感が減ってしまいます。 しっかり保険料のシミュレーションを行い、もしもの時に後悔しないように選択しておきたいですね。