【災害名】

十勝沖地震(とかちおきじしん)

【時期】

2003年(平成15年)9月26日午前4時50分07秒(日本時間)

【概要】

震源:北海道襟裳岬東南東沖80km 北緯41度46.7分、東経144度4.7分、深さ45km。 ※震源は1952年の巨大地震とほぼ同じ 地震の規模:Mj8.0、Mw8.0(気象庁)、Mw8.3(アメリカ地質調査所) 気象庁はこの地震を平成15年(2003年)十勝沖地震と命名した。 この地震の震源付近では1952年3月4日にM8.2の十勝沖地震が発生している。 そのため、2003年の地震を「平成十勝沖地震」として区別することもある。

【被害状況】

北海道から東北地方の太平洋沿岸に津波が襲来し、最高で2m55cm(北海道豊頃町・大津で記録)に達した。 十勝川などでは、津波が川を10km以上も逆流する現象も発生した。 北海道では豊頃町の十勝川河口でサケ釣りをしていた釣り人の男性2名が津波にさらわれ行方不明となり、うち1名の遺体が2005年4月に発見された。この死者・行方不明者の他にこの地震による犠牲者はいない。 北海道を中心に負傷者849人、住宅の全壊116棟、半壊368棟、一部破損1,580棟、床下浸水9棟の被害が出た。 各地の震度 震度6弱 北海道 新冠町 静内町 浦河町 鹿追町 幕別町 豊頃町 忠類村 釧路町 厚岸町 震度5強 北海道 厚真町 足寄町 帯広市 本別町 更別村 広尾町 弟子屈町 釧路市 音別町 別海町 震度5弱 北海道 新篠津村 栗沢町 南幌町 長沼町 栗山町 中富良野町 清里町 北見市 訓子府町 苫小牧市 上士幌町 音更町 清水町 芽室町 震度4 北海道 石狩市 札幌市中央区 札幌市白石区 千歳市 恵庭市 函館市 上磯町 恵山町 南茅部町 砂原町 森町 知内町 上ノ国町 厚沢部町 北檜山町 小樽市 余市町 真狩村 倶知安町 妹背牛町 秩父別町 北竜町 滝川市 砂川市 奈井江町 浦臼町 新十津川町 雨竜町 岩見沢市 美唄市 三笠市 剣淵町 旭川市 富良野市 上富良野町 南富良野町 東藻琴村 女満別町 美幌町 斜里町 端野町 留辺蘂町 生田原町 丸瀬布町 伊達市 虻田町 洞爺村 白老町 平取町 えりも町 中標津町 羅臼町 根室市 白糠町 青森県 青森市 五所川原市 平内町 蟹田町 今別町 蓬田村 平舘村 木造町 柏村 稲垣村 車力村 浪岡町 板柳町 金木町 小泊村 藤崎町 尾上町 常盤村 田舎館村 十和田市 三沢市 野辺地町 七戸町 百石町 六戸町 横浜町 上北町 東北町 天間林村 下田町 六ヶ所村 五戸町 名川町 階上町 福地村 南郷村 倉石村 むつ市 川内町 大間町 東通村 岩手県 軽米町 大野村 二戸市 浄法寺町 矢巾町 宮城県 迫町 防災科学技術研究所が設置した強震観測網によれば広尾町広尾と浦幌町直別で震度6強相当(計測震度6.0-6.3)の揺れを観測した。

【特記事項】

北海道東部の各地方都市を結ぶ鉄道・道路・橋梁が各地で多数破損したため、一時道東地方の交通は全面ストップし、その後、主要道路の通行止め解除には数日、完全な復旧には数か月を要した。 また町村道のような末端の生活道路の補修には数年を要した。 鉄道に関しては、根室本線直別駅構内を走行中の特急まりも(8両編成)の先頭から2両目の車両が脱線し、乗客39名のうち1名が軽傷を負った。 また、同本線の路盤・橋梁・信号施設、駅舎なども破損などの被害が生じ、ダイヤが正常に戻ったのは翌月8日に入ってからであった。 また港湾施設の被害は大きく、釧路港などでは液状化現象が多数発生した。釧路空港は管制塔の天井部分が壊れるなどして管制業務が出来なくなったため閉鎖された。 ライフラインでは、厚真町の苫東厚真火力発電所4号機(出力70万kW)が地震により自動停止して発電や送電設備に影響が出て、日高・十勝地方を中心に、釧路市と周辺6町の約2万4300世帯などが停電した。 また、地震直後及び2日後に苫小牧市にある出光興産北海道製油所で2基の石油タンクの火災があった。 これは、震源からやってきて苫小牧市周辺の堆積平野で増幅された長周期地震動の周期と、石油タンクの固有周期が一致し、石油タンクの内容物が共振するスロッシングと呼ばれる現象が発生し、浮き蓋の上に溢れ出した重油やナフサが浮き蓋と側壁の接触との摩擦で発生した火花に触れて引火することによって引き起こされた。 地震後、このような巨大地震によってもたらされる長周期地震動による大規模構造物の被害が注目された。