【災害名】

新潟県中越地震(にいがたけんちゅうえつじしん)

【時期】

2004年(平成16年)10月23日17時56分

【概要】

新潟県北魚沼郡川口町(現・長岡市)の直下を震源として発生した逆断層型の内陸地殻内地震で、震源直上の川口町では最大震度7を観測した。 震度7を観測したのは、1995年の阪神・淡路大震災以来9年ぶり、観測史上2回目。なお、阪神・淡路大震災では気象庁などの調査によって震度が判定されたため、震度計で震度7が観測されたのは初めてである。 また、M6を越える規模の大きな余震が複数回発生するなど、余震回数が多く群発地震的様相を呈したことも特徴のひとつである。

【被害状況】

強い揺れに見舞われた小千谷市、十日町市、長岡市、見附市を中心に、全体で68名が死亡した。この内、建物の倒壊などによる直接的な死者は16人で、他の52人は避難中のストレスやエコノミークラス症候群によるものであった。 家屋の全半壊はおよそ1万7,000棟に上ったものの、建物火災の発生は9件に留まった。 「新潟県・特別豪雪地帯等における高床式住宅の特例基準」が施行された2001年10月以降の高床式住宅は比較的被害が軽微であった。一方で、山崩れや土砂崩れなどで鉄道・道路が約6,000か所で分断された。 2004年(平成16年)は7月13日に新潟県地方で大規模な水害が起こり(平成16年7月新潟・福島豪雨)、また夏から秋にかけて台風が過去最多の10個上陸するという、例年にない多雨に見舞われた年であった。 このため、もともと地滑りの発生しやすい地形であったところに降雨によって地盤が緩み、地震が発生した際に多くの土砂崩れを引き起こしたものと思われる。 震度5弱以上が観測された気象庁の発表地点 震度7 新潟県 川口町川口 震度6強 小千谷市城内・山古志村竹沢・小国町法坂 震度6弱 長岡市幸町・十日町市千歳町・栃尾市大町・越路町浦・三島町上岩井・堀之内町堀之内・広神村今泉・守門村須原・入広瀬村穴沢・川西町水口沢・新潟中里村田沢・刈羽村割町新田 震度5強 安塚町安塚・松代町松代・松之山町松之山・見附市昭和町・中之島町中之島・与板町与板・和島村小島谷・出雲崎町米田・小出町小出島・塩沢町塩沢・六日町伊勢町・新潟大和町浦佐・津南町下船渡 震度5弱 福島県 只見町只見・西会津町野沢・柳津町柳津 群馬県 片品村東小川・高崎市高松町・北橘村真壁 埼玉県 久喜市下早見 新潟県 上越市大手町・上越市木田・浦川原村釜淵・牧村柳島・柿崎町柿崎・頸城村百間町新田・吉川町原之町・三和村井ノ口・三条市西裏館・柏崎市中央町・加茂市幸町・出雲崎町川西・広神村米沢・栄町新堀・湯之谷村大沢・高柳町岡野町・西山町池浦・燕市秋葉町・弥彦村矢作・分水町地蔵堂・吉田町日之出町・巻町巻・月潟村月潟・中之口村中之口 長野県 三水村芋川 北は青森県の東津軽郡蟹田町(現・外ヶ浜町)、西は兵庫県の神戸市灘区、南は和歌山県の那賀郡打田町・粉河町(どちらも現在の紀の川市)で震度1を観測するなど、東北地方から近畿地方にかけて震度1以上の揺れを観測し、北海道の函館市でもビルの高層階では揺れを感じた。 また、防災科学技術研究所が運用している強震観測網によれば小千谷市で震度7相当(計測震度6.7)の揺れを観測した。

【特記事項】

本震の震源の深さが地下13キロで、余震も地下20キロ以下で発生し、大きな有感地震が続いた。 新潟県内では、本震発生後2時間の間に3回の震度6(弱が1回、強が2回)、地震発生日に計164回の有感地震、翌24日も計110回の有感地震を観測。 その後も余震が続き、10月31日までの間に計600回、11月30日までの間に計825回の有感地震を計測した。 10月25日以降は、大学の共同研究チーム、気象庁、防災科学技術研究所などにより、臨時の地震計(149台)、GPS変位計(17台)、電磁気(9台)の観測機器が設置され、余震活動を記録し地下構造の解析を行った。 兵庫県南部地震をきっかけに整備された高感度地震観測網と臨時地震観測機器群の活躍により阪神・淡路大震災の際に記録した余震の2倍、三河地震に匹敵する回数の余震を観測している。 震度6強の強い揺れをともなった地震が短時間に連続して発生しており、余震の規模と時空間分布からみると群発地震的な特徴を持っている。地震から7年以上経った2011年でも最大震度が2 – 3の余震が時折発生している。 新潟地方気象台によると、2006年(平成18年)5月2日に発生した小千谷市で最大震度2を観測した余震により、震度1以上の余震は1,000回を超えた。