【災害名】
福岡県西方沖地震(ふくおかけんせいほうおきじしん)
【時期】
2005年(平成17年)3月20日午前10時53分
【概要】
福岡県西方沖地震(ふくおかけんせいほうおきじしん)は、2005年(平成17年)3月20日午前10時53分に福岡県北西沖の玄界灘で発生した気象庁マグニチュード7.0(Mw 6.7)、最大震度6弱の地震である。 震源に近い福岡市西区の玄界島で住宅の半数が全壊する被害となったのをはじめ、同区能古島、西浦、宮浦、東区志賀島などの沿岸地区で大きな被害となった。 福岡市および志摩町・前原市(現・糸島市)と周辺市町村を中心に被害が発生した。 死者1名、負傷者約1,200名、住家全壊約140棟。福岡市付近では有史以来もっとも大きな地震。
【被害状況】
この地震最大の震度6弱を観測したのは4地点で、福岡県内では福岡市東区東浜、中央区舞鶴、前原市(現糸島市)前原西の3地点、佐賀県内ではみやき町北茂安の1地点となっている。 福岡県内の3地点は震央から約30キロであるのに対し、佐賀県みやき町は震央から60キロとやや離れている。 また、福岡県福岡地方の広い範囲と筑後地方・筑豊地方の一部、佐賀県と長崎県壱岐の一部で震度5強となった。 福岡県、佐賀県および長崎県北部と壱岐・対馬、大分県北部はほとんどが震度4以上となり、このほか熊本県、長崎県、山口県、島根県でも複数の地点で震度4を観測している。 震度5弱以上を観測した気象庁の発表地点(観測点名は発生当時) 震度6弱 福岡県 福岡東区東浜・福岡中央区舞鶴・前原市前原西 佐賀県 みやき町北茂安 震度5強 福岡県 福岡中央区大濠・福岡早良区百道浜・福岡西区今宿・大川市酒見・春日市原町・久留米市津福本町・須恵町須恵・福岡新宮町緑ヶ浜・福岡志摩町初・二丈町深江・碓井町上臼井・穂波町忠隈・久山町久原・粕屋町仲原 佐賀県 上峰町坊所・白石町有明・七山村滝川 長崎県 壱岐市芦辺町芦辺 震度5弱 福岡県 福岡博多区博多駅前・福岡城南区神松寺・福岡南区塩原・北九州八幡西区相生町・北九州戸畑区千防・中間市中間・久留米市北野町・久留米市城島町・大野城市曙町・福津市津屋崎・柳川市本町・小郡市小郡・うきは市浮羽町・直方市新町・飯塚市川島・宗像市東郷・宗像市江口・大島村大島・那珂川町西隈・志免町志免・宇美町宇美・篠栗町篠栗・遠賀町今古賀・若宮町福丸・筑穂町長尾・高田町濃施・夜須町下高場・夜須町篠隈・朝倉町宮野・大木町八町牟田・大刀洗町冨多 佐賀県 小城市芦刈・小城市牛津・小城市三日月・唐津市西城内・唐津市北波多・唐津市呼子・鳥栖市宿町・多久市北多久町・久保田町新田・諸富町諸富津・川副町鹿江・佐賀大和町尼寺・東与賀町下古賀・佐賀千代田町直鳥・佐賀神埼町神埼・三田川町吉田・三瀬村三瀬・佐賀嬉野町役場・江北町山口・佐賀北方町志久・白石町福田・白石町福富・みやき町中原 長崎県 壱岐市石田町 大分県 中津市三光 住宅被害や負傷者の大半は福岡県内で発生しており、特に福岡市が大きな割合を占めた。 負傷者の8割、全壊・半壊棟数の9割、一部損壊の5割が福岡市となっている。 ただ、福岡市内では全区で人的・物的被害が生じたものの、被害は限られた地域に集中し、その他では散発的な被害が見られた。 住宅の全半壊を伴うような被害が目立ったのは、福岡市西区の玄界島や能古島、同じく西区北西端の西浦地区・宮浦地区、東区の志賀島など、沿岸の漁村・農村地域だった。 特に、玄界島では住宅の半数が全壊するなど大きな被害となり、約1か月間にわたって全島避難を行った。 また、福岡市街地の中でも一部地域、中央区の警固断層東縁でマンションや古いビルの半壊・一部損壊が集中的に発生した。 福岡市消防局のまとめによると、福岡市内で地震に伴う傷病により救急搬送された人数は地震当日の3月20日に87人、翌3月21日に6人など、4月6日までの18日間で計109人となっている。 受傷要因別の内訳は、転倒による負傷が31人(28%)、鍋等の転倒による熱傷が19人(17%)、落下物による負傷が同じく19人(17%)、建物等の倒壊による負傷が12人(11%)などとなっている。 また、年齢別では60代以上が約6割を占めた。
【特記事項】
日本以外では、韓国でもソウルを始め広範囲で揺れを観測した。アメリカ地質調査所(USGS)の記録によれば釜山、慶州、巨済で改正メルカリ震度階級震度4を観測した。 また、中国の上海では、地元紙『新民晩報』の報道によるとビルの高層階では体感で分かるほどの揺れが感じられ、食器が音を立てたり電灯が揺れたりして2分ほど揺れが続いたところもあったほか、上海市地震局でも揺れを観測した。