【災害名】

駿河湾地震(するがわんじしん)

【時期】

2009年(平成21年)8月11日5時7分

【概要】

静岡県御前崎の北東35km沖の駿河湾の深さ23kmの地点を震源とし、気象庁マグニチュード(M)は6.5、モーメントマグニチュード(Mw)は6.3。
圧縮軸は北北東-南南西(NNE – SSW)方向の横ずれ成分を持つ逆断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

静岡県伊豆市、焼津市、牧之原市、御前崎市では震度6弱を記録した。焼津港、御前崎港では津波を観測した。
国土地理院の観測結果によると、この地震によって、焼津市は西へ2センチメートル、藤枝市は西北西へ1センチメートル移動した。

【被害状況】

駿河湾地震による人的被害は1都4県と比較的広範囲にわたって発生しており、死者1名、負傷者319名を記録した。静岡市駿河区では、地震により積まれた書籍が崩れ、それに埋もれて窒息死した女性が発見された。
揺れが激しかった焼津市や牧之原市では、骨折などで被災者が重傷を負う被害が発生した。

震度5弱以上を観測した気象庁の発表地点
震度6弱
静岡県 御前崎市御前崎・牧之原市相良・牧之原市静波・焼津市宗高・伊豆市市山
震度5強
静岡県 静岡菊川市赤土・静岡菊川市堀之内・牧之原市鬼女新田・袋井市浅名・静岡清水区庵原町・静岡葵区駒形通・静岡駿河区曲金・富士宮市野中・焼津市東小川・焼津市本町・伊豆の国市田京・伊豆の国市長岡・西伊豆町仁科・松崎町江奈・松崎町宮内・東伊豆町奈良本
震度5弱
長野県 泰阜村役場
静岡県 静岡葵区峰山・静岡葵区追手町県庁・静岡葵区追手町市役所・掛川市西大渕・掛川市三俣・袋井市新屋・御前崎市池新田・磐田市福田・吉田町住吉・藤枝市岡部町岡部・島田市中央町・島田市川根町家山・島田市金谷代官町・長泉町中土狩・沼津市戸田・伊豆の国市四日町・函南町平井・南伊豆町入間・南伊豆町下賀茂・河津町田中・下田市中・下田市東本郷・東伊豆町稲取

北は宮城県栗原市、山形県酒田市、西は島根県大田市、広島県呉市で震度1-2を観測するなど、東北地方から中国地方、四国地方にかけて震度1以上の揺れを観測した。
また、駿河湾に面している市町村で唯一富士市だけが震度4と遠く離れた東京都並みに低い揺れであった。なお、富士市の内陸に位置する富士宮市は震度5強であった。

今回の地震は揺れの激しさに加え発生時刻が早朝だったため、家具の倒壊により就寝中の住民が死傷すると懸念されたが、死傷者数は比較的少ないとされている。
一例として、岩手・宮城内陸地震で震度6弱を記録した被災地と、今回震度6弱を記録した焼津市を比較すると、人口1万人あたりの負傷者数は4分の1程度にとどまっている。この理由について、静岡県では家具の固定化率が63%に達していたため死傷者が少なかったと指摘されている。
駿河湾地震により、住宅6棟が半壊、8,672棟が一部破損した。
しかし、最大震度6弱を記録するなど比較的強い揺れが観測されたにもかかわらず、全壊した家屋はゼロだった。
家屋での被害が少なかった1つの理由として、耐震対策が徹底されていた点が指摘されている。

【特記事項】

その後の地震活動としては2011年8月1日23時58分頃に、駿河湾でM6.2の地震が発生した。2009年の地震と同様に沈み込むフィリピン海プレート内部で発生した地震とみられる。
震源の深さは約20km、震央は北緯34.7度、東経138.6度で、2009年の地震より伊豆半島寄りの比較的近い場所に位置していた。この地震により静岡県東伊豆町奈良本、焼津市本町、静岡市駿河区曲金で震度5弱を観測した。

気象庁はこの地震と2009年の地震、あるいは2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震との関連について「はっきりとした関連は見られない」としている。
また東海地震との関連については、気象庁は「地震の種類が異なり、東海地域における地殻変動を観測しているひずみ計にも異常がないことから、想定される東海地震と直接の関係はなく直ちに結びつくものではない」とし、東京大学名誉教授・東海地震判定会会長の阿部勝征は「想定される東海地震震源域より東側で起きており、地震の規模からも東海地震と直接の関係はないだろう」としている。