2014年2月 豪雪

【災害名】 平成26年豪雪(へいせい26ねんごうせつ) 【時期】 2014年2月4日~16日にかけて 【概要】 2月4日正午から6日にかけて冬型の気圧配置となり、下層寒気については「10年に1度」の強い寒波が日本列島に流れ込み全国的に寒い日が続いた。最高気温0℃未満の真冬日となった地点数は、5日・6日と2日連続で400地点を超えた(4日は日付変更直後の深夜から早朝にその日の最高気温を記録した地点が多く、昼になるにつれ気温が著しく低下した)。また、低気圧が急速に発達を続けたため8日・14日と2週続けて広い範囲(関東・甲信越・東北(主に福島県と宮城県)(新潟県の一部も含む)地方を中心)に大雪となった。いずれも冬型の気圧配置によるものではなく南岸低気圧が通過した影響で発生したものであり、上空の気温が低かったことから全国的に雨ではなく雪となった。 【被害状況】 2月7日から9日にかけての降雪前線を伴った低気圧が日本列島の南をゆっくり通過したため中国・四国地方から東北地方にかけて大雪となった。8日3時に1002hPa(四国沖)だった低気圧は9日3時には984hPaに発達、東京都心でも20cm以上の積雪が予測されたため気象庁は7日の夕方に記者会見を開くなど関東地方での大雪が警戒された。7日は西日本を中心に大雪となり岡山市で20年ぶりに9cmを観測した。8日は東海地方で午前中、関東地方で夕方から夜にかけてまとまった雪が降り、千葉(1966年観測開始)で歴代最深となる33cmの積雪を記録するなど、千葉県では北西部や房総丘陵などで積雪が40〜60cmに達した地点もあった。また、東京都千代田区大手町で観測史上8位となる最深積雪27cmを記録するなど東京都心でも1994年以来20年ぶりの積雪20cm以上・45年ぶりの積雪25cm以上を記録。8日の最高気温は平年より5℃以上低くなったところが多く、全国のアメダスのうち393地点では最高気温が0℃未満の「真冬日」となった。翌9日には低気圧が北東に移動し、仙台市で1926年の観測開始以来歴代3位となる最深積雪35cmを記録するなど関東と東北の太平洋側で記録的な大雪となった。これらの大雪は上空の寒気が非常に強かったことから、南岸低気圧がもたらすものとしては比較的軽い乾雪となったところが多く、雪の重みによる被害は比較的少なく済んだ。この非常に強い寒気の影響で北海道では8日朝の冷え込みが強まり、北海道の11地点で最低気温が-30℃以下になった(最低は幌加内町の-33.8°Cで、平年比-18℃)ほか、札幌でも-14.3℃で平年を7℃下回った。2月11日の降雪低気圧が小笠原付近を通過し、その北を弱い気圧の谷が通過したため関東地方に雪雲が広がり、千葉県や茨城県を中心に積雪を観測し東京都心でも一時的に雪が舞った。千葉市では前回の南岸低気圧により11cmの雪が残っていたがその上に雪が降り積もり、一時的に最深積雪が21cmに達した。2月14日から16日にかけての降雪低気圧が日本の南岸を発達しながら通過し、近畿から東北にかけて大雪となり、特に関東内陸や甲信では記録的大雪となった。13日、九州の南で低気圧が発生。九州は、雨中心の天候であったが、気温の低い夜に降水が発生したため、福岡県などでもみぞれを観測した。宮崎県北部や大分県の山沿いでは、気温が低かったため、大雪となった。14日未明には中国・四国でも降雪が始まり、四国では14日午前中まで雪で、高松市や徳島市などでは積雪を観測し、山沿いでは30センチ前後の大雪となった。14日明け方からは、近畿から関東にかけて雪となり、近畿・東海では昼前を中心に、関東・甲信では15日未明を中心に大雪となった。15日未明に関東・甲信越で雪のピークを迎えたが、低気圧が陸地に近づいたため、雪を降らせていた寒気と低気圧の暖気の影響で大気の状態が不安定となり、南岸低気圧としては珍しく、関東南部では雷が発生し、竜巻注意情報も発表された。それを境に関東南部では雨に変わり、朝まで降り続いたが、関東内陸や甲信では寒気が残ったため、朝まで雪が続いた。東北では、昼過ぎにかけて雪となった。西日本九州では山沿いを中心に雪となり、高千穂町は20cm、五ケ瀬町などでは30cmから40cmの積雪を観測した。四国でも積雪となり、降水量も多かったため、2月8日より積雪したところもある。ほぼ全域で、大雪注意報が発表した。近畿・東海南部の海沿いを除きほぼ全域で雪となった。市街地では比較的普段の南岸低気圧の積雪と変わらなかったが、紀伊半島を中心に活発な雲が流れたため約20年ぶりの大雪となり、内陸や山沿いでは20cmから50cm前後の積雪を記録し、これらの地域でも20cm超えは珍しく、大雪警報が発表された。一部の南部を除き、昼過ぎにはいったん雪が止んだが、夜遅くに再び弱い雨や雪が降り、未明にかけて降り続き、奈良県など内陸方面では再び雪が積もり、大阪や京都などでも霙が降った。京都府では、南丹市で23cmの積雪を記録し、南部の一部地域に16年ぶりに大雪警報が発表された。奈良県では、15 cmを観測し、1996年2月以来の大雪となった。五條市では24cm、天川村では30cmを観測し、奈良県では24年ぶりとなる大雪警報が発表された。夜遅くに再び雪が降り、11cmまで減少していた積雪が14cmに増加した。また、日中の気温もほぼ0℃で経過し、最高気温は雪が降る前の未明に観測された1℃であった。三重県南部では、津市で13cm(戦後3位)を観測し、名張市で27cm、伊勢市で25cm前後の積雪となり、伊勢神宮が参拝停止になった。また、三重県南部で初の大雪警報が発表された。その他、京都・大阪で4cm、和歌山で6cm、彦根・名古屋で7cm、岐阜で8cm。また、同じ地域でも場所によって降雪量に大きな差も見られた。関東・甲信2月14日夕方から2月15日朝にかけては特に甲信地方の山梨県で記録的な大雪となり、甲府市(1894年観測開始)で114cm、河口湖(1933年観測開始)でも143cmといずれもそれまでの過去最深積雪を大幅に塗り替える積雪を記録した他、関東地方でも秩父市(1926年観測開始)で98cm、前橋市(1896年観測開始)で73cm、熊谷市(1896年観測開始)で62cm、宇都宮市(1890年観測開始)で32cmと過去最深積雪を記録、東京都心でも8日に続いて東京都千代田区大手町で最深積雪27cmを記録。大手町から1キロ離れた北の丸公園試験観測場では大手町を大きく上回る39cmの積雪となった。この大雪から2日経った2月17日には東シナ海上に再び低気圧が発生。低気圧を伴った前線が14日から16日の低気圧と同様のコースを進む予想だったため、17日の予測では関東地方で過去2回の積雪と同規模かそれを上回る大雪が予想されたが、低気圧は陸地から離れたため雪は観測されなかった。 【特記事項】 積雪量は関東平野部でも30〜80 cm、甲信越地方および奥多摩・秩父・丹沢・箱根・静岡東部などの内陸部では1m以上に達し、山中湖村で最大時には積雪187cmを記録するなど、山間部では2m前後にまで達した。

2005年12月~2006年2月 平成18年豪雪

【災害名】 平成18年豪雪(へいせい18ねんごうせつ) 【時期】 2005年(平成17年)12月から2006年(平成18年)2月にかけて 【概要】 気象庁は当初2005年(平成17年)秋ごろの寒候期予報や3か月予報などにおいて全国的に気温は平年並みか高いと予想。暖冬となる見込みであった。 しかし予想に反し2005年(平成17年)12月上旬に早くも強い寒気が流れ込んだのを皮切りにその後も次々と断続的に寒気が流れ込むようになり、急速に発達する低気圧の通過と重なり日本各地に大雪、寒波、暴風をもたらした。 【被害状況】 被害の状況として、スリップや衝突などによる交通事故、落雪による事故のほか高齢者を中心に全体の7割を占めた雪おろし中の事故(転落、心臓発作など)による死者が目立った。 雪崩による死者は2人と他の豪雪と比較して少ない。 人的被害 死者152人 重傷者902人 軽傷者1,243人 新潟県32人、秋田県22人、北海道18人、福井県14人、山形県13人など全国で合計152人の死者が出た。負傷者は合計で2,100人を超えた。 家屋被害 家屋全壊18件 家屋半壊28件 一部損壊4,667件 床上浸水12件 床下浸水101件 広島県では一部損壊の住宅が1,000件を超えたのをはじめ滋賀県、島根県、岐阜県、秋田県、京都府、新潟県などで建物への被害件数が多かった(以上消防庁のまとめによる)。 自然災害 雪崩93件 地すべり13件 土石流5件 がけ崩れ13件 (国土交通省のまとめによる) 北海道地方から北陸地方・山陰地方の山間部では多くの地域で冬(12月 - 2月)の降雪量や最深積雪が平年を上回った。 特に新潟県の山間部にある津南町では4mを超える最深積雪を記録したのをはじめ北海道、東北地方、北陸地方、群馬県、岐阜県、長野県、中国地方などの山間部や内陸部を中心として記録的な最深積雪となる所が多く12月の時点で歴代最深積雪の記録を塗り替えた地点もあった。 金沢市、福井市、鳥取市など日本海側沿岸部に位置する地域では最深積雪こそ平年並あるいは平年を上回るところが多かったものの冬期間の降雪量は平年並あるいは平年を下回るところが多かった。 12月は日本海側山間部から内陸部、沿岸部の多くの地点で降雪量が平年を大きく上回ったものの1月中旬以降は冬型の気圧配置が長続きせず高温となる時期も多くなったことや冬型の気圧配置となっても山間部中心の降雪となったため日本海側沿岸部では1月、2月の降雪量は平年を下回り、この地域では2月中旬以降は融雪も進み3月を迎える前に積雪がなくなる地点も多かった。 山間部の地域でも1月中旬以降は強い降雪のピークは超えたが、代わりに気温の変動などによる雪崩被害も増加した。 新潟市や東北地方太平洋側の仙台市や福島市でも冬の降雪量や最深積雪は平年並、あるいは平年を下回った。 この12月は平年の「寒気が南下してくる限界」よりも南に寒気が流れ込んだため九州地方、四国地方、中国地方瀬戸内側、近畿地方、東海地方など平年は雪が少ない地域でも大雪となった。