【災害名】

有珠山(うすざん)の噴火

【時期】

2000年3月31日午後1時7分

【概要】

3月31日午後1時7分、国道230号のすぐ横の西山山麓からマグマ水蒸気爆発。噴煙は火口上3,500mに達し、周辺に噴石放出、北東側に降灰した。 噴火直後より、内閣安全保障・危機管理室からの要請で札幌行の特急列車を長万部駅で運行を打ち切って洞爺駅へ回送させ、折り返し虻田・豊浦町民を長万部町へ移送する等の避難列車を仕立てた。 翌日には西山西麓や温泉街に近い金比羅山でも新火口が開き、付近に次々と新しい火口を形成した。 火口に近い地域では噴石や地殻変動による家屋の破壊が多発した。 同年8月になると深部からのマグマ供給が停止し、9月以降は空振や火山灰噴出の活動は衰えた。 なお、翌2001年の春頃まで続いた一連の火山活動では「新山」の形成は確認されなかったが、地殻変動の結果、西側の山麓では、噴火前よりも最大で約70メートル地面が隆起することとなった。

【被害状況】

国道230号は噴火によって通行不能となり、後に溶岩の貫入による地盤の隆起により階段状の亀裂が発生し通行不能になった。 金比羅山火口からは熱水噴出により熱泥流が発生し洞爺湖温泉街まで流下、西山川に架かる2つの橋が流失した。 また、広い範囲で地殻変動による道路の損壊が発生した。 なお、噴火後に避難者数は最大約1万6千人まで拡大した。北海道旅客鉄道(JR北海道)室蘭本線は跨線橋の落下などのため一時不通となり、長距離及び貨物列車の一部は函館本線経由で迂回運行された。 3月29日から2001年(平成13年)6月30日までの間、道央自動車道の一部区間が路面損壊などのため通行止となった。 熱泥流に襲われ校舎が損壊した洞爺湖温泉小学校は、敷地が砂防ダム用地になったことも合わせて再び移転改築を余儀なくされた。

【特記事項】

2013年現在、比羅山の2つの火口には水が溜まり、池になっていて噴気は観察されないが、西山の火口群は火口辺縁の地熱帯より水蒸気が少量立ち上る状態となっている。 破壊された国道230号は地盤の隆起によって水勾配が変化したため西山麓が水没し、付近の建物が使用不能になった。 この区間の通行は不可能となっていたが、従来の西側に2本のトンネルを掘り、最短距離で内浦湾に抜ける新ルートが建設された。 虻田洞爺湖ICも新ルートの国道に接続する形で移設された。また、不通区間を一部利用した道路も整備された。