火災保険の解約返戻金の仕組み

 保険に加入する際にもっとも気になるのが、保険料と解約時のリスク。 今回は、火災保険に加入後、解約した場合の保険料返済方法について詳しく解説していきます。 これから火災保険の加入を検討している方、火災保険の解約を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。 【火災保険の支払い方】 火災保険の支払い方法はいくつか種類があります。本項では、支払い方法の特徴について説明していきます。 ◆一括前払いが基本 火災保険では、保険をかける対象が住居であるため、長期的な契約をかわすことが多く、ほとんどの場合では一括前払いとなります。 火災保険の保険料は、家の構造や広さ、補償内容によって決まります。 特に、持ち家や購入マンションの場合は、住宅ローンを組む際の条件となっていることが多いこともあり、長期での契約を結ぶケースが多くなっています。一般的に、長期でまとめて支払うほどディスカウントを受けることができ、月あたりの支払い額を少なくすることができます。 ◆月ごとの分割払いも可能 保険料をまとめて一括で支払うとなると、大きな金額が必要となります。 保険料の支払い負担を軽減したいときや、保険の見直しを定期的に行いたい場合は、月払いを選択するのもおすすめです。 【解約後の返金は可能】 火災保険では、解約後の返金は可能です。 ただし、長期でまとまった支払いをすることが多く、さらにまとめて支払った分の割引率も異なってくるため、各自の契約に基づいた計算が必要となります。 ◆一般的な計算方法 払戻しをする際の計算式は以下の通りです。 「解約返戻金=一括で払った保険料×返戻率」 返戻率は各保険会社によって異なるため、契約している保険会社に問い合わせをしてみると良いでしょう。 ◆ケース1:10年分先払いして2年目で解約した場合 仮の数字を用いて、解約返戻金の計算のシミュレーションを行ってみましょう。 10年分先払いをして、契約2年目で解約した場合を考えます。 まず、10年分として一括で支払った保険料が81,000円だとします。 2年目に解約する場合、ある保険会社では返戻率は89%と設定されています。つまり、81,000円×89%=72,090円となり、72,090円が手元に戻ってくることになります。 ◆ケース2:15年分先払いして5年目で解約した場合 15年分先払いして5年目で解約した場合も同じように計算を行います。 ある保険会社で15年分として一括で支払った保険料が118,000円、 そして、5年目に解約する場合の返戻率が67%と設定されています。 この場合、118,000円×67%=79,060円となり、79,060円が手元に戻ってくることになります。 まずは加入している保険会社に問い合わせて、返戻率がどれくらいなのかを問い合わせてみるのが確実です。 【払戻しの手順と火災保険の見直し】 ◆手続きは簡単 火災保険の解約手続きは、非常に簡単です。 契約している保険会社、もしくは加入の際に利用した保険代理店に問い合わせをし、解約の旨を伝えます。 その後、保険会社から解約手続きに必要となる書類が送られてくるので、記入して返送します。 書類が受理された後日、指定の口座に返戻金が振り込まれるという流れです。電話のみで解約し返戻金を受け取ることは難しいので、引っ越しや火災保険の乗り換えが決まったら、なるべく早く契約している保険会社に連絡をするようにしましょう。 ◆火災保険は定期的に見直そう 火災保険の契約は、10年単位の長期的な契約となるケースがほとんどです。 そのため、火災保険の契約時と現在の状況が大きく変わっていたり、より最適な保険のプランが出ていたりすることが多くあります。 万が一、火災保険を変更することになっても、契約内容によっては返金制度を利用し前払いした分を取り戻すことができます。 加入している火災保険の見直しを定期的に行い、適切な保険料を支払うようにしましょう。 ※2019年5月1日現在、2019年10月より火災保険料が上がることが、大手4社(東京海上・損保ジャパン・あいおいニッセイ・三井住友)から発表されています。上げ幅は5%〜10%と大きく、見直しは2019年9月までにするのがベストです。 月払い保険と解約時期に注意 月払いや掛け捨てタイプの保険に加入している場合は、解約返戻金を受け取ることができません。その代わり、掛け捨てタイプの保険料では、月あたりの支払いを少なくすることができます。 そのため、掛け捨て保険は戸建てやマンションを購入して、しばらく引っ越す予定がない場合は経済面でメリットがあるといえます。 しかし、掛け捨て保険では長期で支払いをすればするほど、解約時に返戻金が受けられないというリスクが高まるということは念頭に置いておく必要があるでしょう。 また、保険料は月単位で支払い計算をすることが多く、契約の日数が1ヶ月に満たない場合は返戻金を受け取ることができない場合があります。 そのため、月の途中に解約することによって、残りの日数分の支払いが無駄になってしまう可能性があることには注意が必要です。 【まとめ】 今まで支払った保険料を無駄にしないためにも、保険を解約するときのリスクについて理解しておくことが大切です。 火災保険の補償内容だけでなく、解約時のことも含めて、あなた自身に最適な保険を選ぶようにしましょう。

火災保険で追加を検討したい特約とは?

 日本は世界と比べると自然による災害が起こりやすいため、約80%の世帯が火災保険に加入しています。  しかし、火災保険に加入しているものの契約そのものや、特約などの補償内容を理解せずに申し込んでいる人が多く、いざというときに必要なオプションがないというケースも起こっています。  そこで、ここでは、火災保険に付帯できるオプションにフォーカスし、オプションの種類や検討中の人に おすすめのオプション、知っておきたいオプション追加時の注意点について解説します。 【火災保険の特約とは】 居住環境などに応じて自由に追加できるのがオプション(特約)です。 火災保険は、火事だけでなく落雷や風災、爆発などで生じた建物や家財の損害を補償する保険です。 基本の契約内容に含まれていない、必要な補償内容はオプション(特約)という形で契約に付帯することができます。 ただし、商品によって補償範囲は異なります。 商品Aに含まれていても、他社の商品Bには含まれておらず、オプション(特約)となっているケースがあるので注意が必要です。 ◆火災保険に追加できるオプションの種類 火災保険に付帯できるオプションは、大きく分けると2種類あります。 ・自然災害の損害を補償するもの ・日常生活の事故を補償するもの 「火災の損害を補償するもの」では、自然災害に関連する水災や地震などで生じる費用の補償といったオプションがあげられます。 「日常生活の事故を補償するもの」は、火災に関係のない部分の費用を補償してもらえるオプションです。 盗難や飛来・衝突といった破損など、日常生活で起こり得るさまざまな事故に対応したものがあります。 ◆火災保険の契約途中でもオプション追加は可能 火災保険は、契約時にある程度の補償内容を決めて申し込みをするのが一般的です。ただ、自然災害のニュースや地域のハザードマップなどを見直して必要に感じるオプションを追加しようと思うこともあるでしょう。 契約途中のオプション追加は、ほとんどの保険会社で認められているので、必要性を感じたオプションがあれば火災保険に追加しましょう。 【必要に応じて火災保険に付帯したいオプション】 加入できるオプション(特約)は保険会社によって異なりますが、保険会社で用意されていることが多い不測・突発的な事故に備えてつけておくと安心なオプションを紹介します。 ◆水災(水害)補償 洪水、土砂崩れ、高潮などで所定の損害を受けたときに補償してもらえるのが、火災保険の水災補償です。 ・水害の備えをしていない世帯が多い 内閣府の「保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会 報告」によると、持ち家世帯で水災補償に加入している世帯は約66%となっており、約34%は未加入です。 ただ、台風だけでなく、異常気象による集中豪雨で洪水や土砂崩れといった水災が増えており、海沿いでは高潮による浸水被害も発生しています。 ハザードマップで浸水区域外となっている場合、水災補償の必要性を感じないかもしれませんが、家が山側の斜面に近い場合、 大規模な土砂崩れなどの被害にあう可能性があるため、大きな河川や山側に家が建っているのであれば水災補償は入れておくと安心です。 ◆破損・汚損損害等補償特約 小さな子どもやペットなどを買っている家庭におすすめなのが、破損・汚損損害等補償特約です。 ・大掃除でテレビを動かしたとき落として液晶部分を破損 ・子どもがボールを投げて窓ガラスを割った 上記のような、偶発的な小事故に対して補償が受けられます。 商品によって、家財もしくは建物のみとなっていることがあるので、申し込みの際は具体的な損害の対象を確認しましょう。 ◆新価実損払特約 被害を受けた建物や家財と同等のものを購入したり、復旧したりするのに必要な金額(再調達価額)を補償してくれるのが 新価実損払特約です。 物は年数を重ねると価値が下がります。 建物も使用年数に応じて価値が下がるため、時価額での補償の場合、同じ建物の再築や物の再購入が難しいです。 しかし、新価実損払特約の場合、時価額(現在の時点の評価額)ではなく、事故発生時点の評価で再調達に必要な金額を 補償してもらえるため、今の建物と同等程度の建物の再築や物の再購入に必要な費用に相当する保険金を受け取れます。 【火災保険のオプション追加時の注意点】 火災保険のオプションを追加するときは以下の2つのことに注意しましょう。 ◆他の保険に付帯する補償との重複 火災保険に付帯できるオプションの中には、自動車保険などで加入できるオプションがあります。 また、保険会社によって商品名が異なるだけということもあるので、契約の際は、既存の保険も横断的に 確認して申し込むようにしましょう。 ◆補償の手厚さと保険料の妥協点を見つける 考え得る損害に備えるのが保険ですが、補償内容が充実するほど、保険料のコストがかさみます。 そのため、家族と相談し、補償の手厚さと保険料の妥協点を見つけることがポイントとなります。 ・居住地域で起こり得る災害について調べることが大事 ハザードマップや竜巻分布図、災害をもたらした気象事例など、居住地域で起こり得る災害について調べて、 住宅環境からオプションの必要・不要を見極めるようにしましょう。 【まとめ】 火災保険には、基本契約に付帯できるさまざまなオプションが用意されています。 基本契約の内容と居住地域で起こり得る災害の可能性を確認して自分のニーズに合ったオプションを追加し、 不測の事態に備えましょう。