【災害名】
令和2年7月豪雨(れいわ2ねんしちがつごうう)
【時期】
2020年(令和2年)7月3日から7月31日にかけて
【概要】
熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した集中豪雨である。
同年7月9日に、当時継続中だった大雨を気象庁が命名し、8月4日に豪雨の期間を7月31日までと発表した。
熊本県を中心に被害をもたらしたことから、報道機関等では別称で「熊本豪雨」とも表記している。
【被害状況】
2021年1月14日時点で農林水産に関する被害額は、2208億円となった。
・熊本県 (県南地域)・鹿児島県(3日夜から4日昼の豪雨)
熊本県を流れる球磨川水系は、八代市、芦北町、球磨村、人吉市、相良村の計13箇所で氾濫・決壊し、約1060ヘクタールが浸水した。
・長崎県・佐賀県・福岡県・熊本県 (県北地域) ・大分県(6日夕方から7日朝・7日深夜から8日朝の豪雨)
福岡県大牟田市では、7月6日午後3時からの3時間で252ミリという「経験したことのない雨量」を観測した。諏訪川は氾濫危険水位に達したが、氾濫は起きなかった。しかし、三川ポンプ場(同市汐屋町)の処理能力を越える雨量だったため、ポンプ場から水が溢れ、内水氾濫が相次いで起きた。
筑後川は上流部の大分県内、中流部の福岡県内のそれぞれ一部で氾濫した。
また、筑後川流域の福岡県久留米市では支流の山ノ井川や巨瀬川の氾濫により浸水被害がみられた。また内水氾濫の影響による浸水被害もあった。
大分県由布市では大分川が庄内町東長宝(小野屋駅周辺)と挾間町下市(天神橋付近)で越流が発生し、市内各地で大分川支流(花合野川、黒川など)の氾濫・土石流や土砂災害も多発したため、災害発生情報が出された。また、大分川では、国直轄水位観測点の由布市の同尻観測所・大分市の府内大橋観測所での水位が観測史上過去最高であった。
長崎県大村市では土砂崩れや、小河川の氾濫により道路をふさいで通行不可となった。
佐賀県太良町では、6日午後4時半ごろ、民家裏手にて土砂崩れが発生し、2人が負傷した。
・岐阜県・長野県(7日夜から8日昼の豪雨)
岐阜県では8日朝、下呂市萩原町中呂の木曽川水系飛騨川で氾濫が発生した。また、加茂郡白川町河岐の白川、美濃市立花の長良川など県内6河川8カ所で氾濫が発生。高山市朝日町西洞や、瑞浪市釜戸町など県内5カ所で土石流やがけ崩れなど土砂災害も起こっている。
長野県内では7月8日午後の段階で、道路への土砂流出などの影響で松本市や長野市、木曽町の3市町の計約390人が一時孤立した。県などは地区に通じる道路の復旧を急いでいる。
・広島県・島根県(13日夜から14日午前の豪雨)
広島県内では14日午前6時ごろ、東広島市河内町宇山で土砂崩れが発生し親子2人が行方不明となり、捜索の結果、同日午後死亡が確認された。
島根県では西部を流れる江の川が14日午前9時半ごろ、下流域の江津市川平町と同市桜江町田津で氾濫が発生した。道路や農地の冠水が確認されている。
・山形県・秋田県(26日から29日の豪雨)
山形県では、29日朝までに最上川が大蔵村、大石田町、大江町、村山市の計6か所で氾濫し、多くの住宅で浸水被害が出た また、福部内川などの小河川でも氾濫が相次ぎ田畑や農作物への被害もあった。
【特記事項】
気象庁によると、7月上旬(1-10日)に全国のアメダスで観測した降水量の総和は20万8308.0mm(1地点あたり216.1mm)で、1982年以降の旬ごとで最大だった2018年7月上旬(平成30年7月豪雨(西日本豪雨))の20万7526.5mm(1地点あたり215.3mm)を超えた。
また7月上旬に1時間50mm以上の降水が発生した回数は82回で、1982年以降最多だった2019年10月中旬(令和元年東日本台風)の69回を超えた。
また気象庁によると、3日から14日(12日間)の全国の総降水量は25万3041.5mmで、23万3453.5mmだった平成30年7月豪雨(11日間)を超えた。