【災害名】

平成16年台風第16号(へいせい16ねんたいふうだい16ごう)

【時期】

2004年8月19日~8月31日にかけて

【概要】

8月19日21時にマーシャル諸島近海で発生した台風16号は、23日にサイパン島の西で猛烈な勢力となった。 27日以降、日本の南海上をゆっくりと北西に進み、29日夜には九州の南海上で進路を北寄りに変え、30日10時前、鹿児島県串木野市(現在のいちき串木野市)付近に大型で強い勢力(中心気圧950hPa)で上陸し、九州を縦断した。 17時半頃、山口県防府市付近に再上陸した後、中国地方から能登沖を、次第に速度を速めて強い勢力のまま北東に進んだ。 その後やや勢力を弱め、31日に津軽海峡を通って、12時過ぎ、北海道函館市付近に再上陸し、15時に北海道東部で温帯低気圧に変わった。 27日から31日にかけての期間降水量は、西日本の太平洋側で500mmを超え、台風上陸、接近に伴い各地で暴風となった。 また、30日夜には、台風接近と大潮期間の満潮とが重なり、高松港や宇野港などで観測開始以来最も高い潮位を観測した。 この台風は、2004年の台風では最も強く、最盛期には中心気圧910hPa、最大風速55m/s(110knot)の猛烈な勢力だった。 また、強風域や暴風域も広く、台風の中心から離れたところでも強い風が吹いた。 さらに、気圧の低下や強い風の吹きつけ、そして大潮期間の満潮が大規模な高潮被害をもたらしたと考えられる。 全国での死者は14人、行方不明者3人、負傷者269人と人的被害も大きかった。 さらに、この台風の後の台風18号により、復興作業中の九州地方や中国・四国地方でさらに被害が広まった。

【被害状況】

被害 死者: 14 名 行方不明者: 3 名 負傷者: 269 名 住家全壊: 30 棟 住家半壊: 92 棟 床上浸水: 16,840 棟 床下浸水: 29,785 棟 記録 最大瞬間風速: 58.3m/s(室戸岬) 最大風速:46.8m/s(室戸岬) 最低海面気圧:953.7hPa(枕崎) 27日から31日にかけての期間降水量 西日本の太平洋側で500mm超 この台風で高松市内では2人の死者が出た。 1人は一人暮らしの83歳の女性で、就寝中に床上20cmまで浸水し溺死した。 もう1人は扇町のJR予讃線の下を通過する市道で、浸水したアンダーパスに進入した自動車に乗っていた37歳の男性が溺死した。 海水が浸かり塩分の付着によって漏電したことによる建物火災が6件、同じ理由によるショートで発生した車両火災が24件あった。深いところでは人の腰まで浸水したため電気、水道、ガスなどのライフラインに大きな障害が起こり、797戸が停電した。 工場の機械、事務所や商店の事務機器、エアコンの室外機、自動販売機などが多数故障したため、一般商店やコンビニ、スーパーでは営業できなくなった店舗も多い。 中央通りやさぬき浜街道沿いの樹木は倒木あるいは海水によって落葉した。

【特記事項】

8月30日夜には、台風接近と大潮期間の満潮とが重なったために、高松港、宇野港などで観測開始以来最も高い潮位を観測。 岡山県玉野市では消防署、市役所、警察署が高潮で水没するなど甚大な被害をうける。 両備バスでは、玉野営業所が冠水し、同営業所所属の47台全車が被災。