【災害名】

平成25年台風第26号(へいせい25ねんたいふうだい26ごう)

【時期】

2013年10月11日~10月16日にかけて

【概要】

2013年10月11日3時にマリアナ諸島付近で台風26号が発生し、アジア名「ウィパー(Wipha)」と命名された。命名国はタイで、女性の名前に由来する。 また、フィリピン大気地球物理天文局はこの台風について、フィリピン名「ティーノ(Tino)」と命名している。 台風は勢力を強めながら日本の南海上を北西に進み、速度を速めながら北上を続けた。 気象庁は15日午後より、関東地方に接近・上陸する台風としては「10年に一度の強い勢力」として警戒を呼びかけた。 26号は大型で強い勢力のまま暴風域を伴って、16日の明け方に伊豆諸島北部を通過、午前中に房総半島東岸をかすめ、15時に三陸沖で温帯低気圧に変わった。温帯低気圧に変わった後も、北海道をはじめとした地域に影響をもたらした。

【被害状況】

東京都・宮城県・茨城県・栃木県・群馬県・千葉県・静岡県の7都県で合計86棟が全壊、61棟が半壊するという被害が出た。 そのほか、16都県で合計947棟の一部破損、4都県で合計1,884棟の床上浸水、11都県で合計4,258棟の床下浸水の被害があった。 東京都、千葉県、茨城県の14地点で、観測史上最大の24時間降水量を記録した。 特に伊豆大島では、北東-南西方向に伸びる線状降水帯が停滞したため、台風接近前の16日未明から1時間に100ミリ以上の猛烈な雨が数時間降り続き、24時間雨量が800ミリを超える記録的な大雨となった。 この大雨は、関東平野および房総半島から流れ込む冷たい空気と、東から流れ込む台風北側の温かく湿った空気がぶつかって前線が発生したことでもたらされた。 雨量の記録 1時間雨量 東京都大島町(伊豆大島):122.5ミリ(16日3時53分まで) 大島町内では東京都設置の雨量計でも90 – 110ミリの猛烈な雨が観測されている。 24時間雨量 東京都大島町(伊豆大島):824ミリ(16日8時20分まで) 暴風 最大瞬間風速 北海道襟裳岬:46.9m/s(16日12時11分) 千葉県銚子市:46.1m/s(16日8時19分) 宮城県江ノ島:45.5m/s(16日9時32分) 最大風速 北海道襟裳岬:34.9m/s(16日12時36分) 宮城県江ノ島:33.6m/s(16日9時49分) 千葉県銚子市:33.5m/s(16日8時25分) 降雪 台風から変化した温帯低気圧が太平洋を通過した関係で、北海道上空に強い寒気が流れ込み、道内173観測地点のうち74カ所で今季最低気温を観測、 旭川市や帯広市、釧路市では前年より1カ月以上早い初雪を観測し、帯広市では帯広測候所に記録が残る1961年以降最も早い積雪(1センチ未満)を記録、遠軽町白滝では17日0時現在、30センチの積雪となった。

【特記事項】

崖崩れや河川が氾濫危険水位に達する等により、青森県・埼玉県・千葉県の3県、15,677世帯・38,642人に避難指示が出された。 一方、土石流災害による死者が発生した伊豆大島・大島町では、16日2時49分、元町地区の住民から「家の中に泥が流れ込んできた」と警視庁大島警察署に通報があり、現場に赴いた署員が危険を感じたため、3時10分と同26分の2度にわたり町役場に電話、防災無線を流し、避難勧告するよう要請したが、 町は防災無線で沢の氾濫に注意するよう求めただけで避難勧告をしなかった。