2019年9月 台風19号

【災害名】 令和元年東日本台風(れいわがんねんひがしにほんたいふう、令和元年台風第19号) 【時期】 2019年10月6日~10月13日にかけて 【概要】 令和元年東日本台風(れいわがんねんひがしにほんたいふう、令和元年台風第19号、アジア名:ハギビス/Hagibis、命名:フィリピン、意味:すばやい)は、2019年(令和元年)10月6日3時にマリアナ諸島の東海上で発生し、12日に日本に上陸した台風である。静岡県や関東地方、甲信越地方、東北地方などで記録的な大雨となり、甚大な被害をもたらした。 【被害状況】 この台風の影響で、洪水や土砂に襲われ亡くなった者が続出した。死亡した際の状況が判明した64人を毎日新聞が分析したところによると、住宅内で水や土砂に襲われ死亡したのは27人で4割超を占め、少なくとも3割近い17人が車での移動中に死亡したとされている。もっとも人的被害が大きかったのは福島県で、死者は30名となった。被害が最大となった理由は、阿武隈川流域での多くの河川の氾濫で郡山市、須賀川市、本宮市、伊達市、白河市などで幅広く決壊したためで、2階まで浸水した家屋も多くあった。次いで人的被害が大きかったのは宮城県で19名、特に丸森町での死者数は11名に上った。阿武隈川の支流での破堤や支流の上流での土砂崩れがその要因として挙げられている。台風通過前には、千葉県市原市で10月12日午前8時ごろに竜巻のような激しい突風が吹いたとみられ、横転した軽トラックの中から男性1名が意識不明で発見され、その後、病院で死亡が確認された。静岡県御殿場市では2人が川に流され、1人は救助されたが1人は行方不明となっている。12日には群馬県富岡市の内匠で住宅の裏山が崩れ、2棟が全壊した。同日午後7時ごろに長野県東御市で千曲川にかかる田中橋の近くの道路が陥没し、車3台が転落。 【特記事項】 台風の接近により、関東甲信地方、静岡県、新潟県、東北地方では、各地で3時間、6時間、12時間、24時間の降水量が観測史上1位を更新するなど、記録的な大雨となった。これらの地域では台風が上陸する前から活発な雨雲が断続的に生じ、広範囲で強い雨が降り続けた。特に神奈川県箱根町では、降り始めからの降水量が1,000ミリを超え、10月12日の日降水量も全国歴代1位となる922.5ミリを観測した。また、10月12日の北日本と東日本のアメダスで観測された総降水量は73,075ミリ(1地点あたり119.2ミリ)で、比較可能な613 地点で1982年以降の1日の降水量として最多となった。

2019年9月 台風15号

【災害名】 令和元年房総半島台風(れいわがんねんぼうそうはんとうたいふう、令和元年台風第15号) 【時期】 2019年(令和元年)9月5日~9月10日にかけて 【概要】 令和元年房総半島台風(れいわがんねんぼうそうはんとうたいふう、令和元年台風第15号、アジア名:ファクサイ/Faxai、命名:ラオス、意味:女性の名前)は、2019年(令和元年)9月5日に発生した台風。関東地方に上陸したものとしては観測史上最強クラスの勢力で9月9日に上陸し、千葉県を中心に甚大な被害を出した。この台風により、首都圏やその周辺などの台風災害に対する脆弱性が改めて浮き彫りとなった。   【被害状況】 総務省消防庁が2020年9月30日12時00分に発表したところによると、東京都と千葉県での死者9人、埼玉県と千葉県、神奈川県、茨城県での重傷者20人を含む、1都6県で160人が重軽傷を負った。台風通過時には、東京都世田谷区で50代の女性が強風にあおられて壁に頭を打ちつけたことで死亡した。 総務省消防庁のまとめでは、住宅被害は千葉県を中心に9万棟を超えており、このうち9割以上が一部破損である。関東の広い地域で工事現場の足場が崩れる被害が見られた。伊豆諸島では、少なくとも6島で600棟以上の建物が損壊した。新島ではその中でも特に被害が大きく、全壊7軒、半壊14軒、一部損壊418軒となり、400棟以上が損壊した。伊豆大島では、150棟を超える住宅が壊れたが、被害の全容が把握できていないという。 【特記事項】 ウェザーニューズの調査によると、台風の中心付近から半径約40kmの範囲で約7hPa/10km以上の気圧傾度であり、特に中心から半径約20kmの範囲では約9hPa/10kmと、急激な気圧傾度がみられた。大阪を中心に暴風をもたらした平成30年台風第21号では大阪での気圧傾度が約5hPa/10kmであり、それ以上に大きい気圧傾度であった。この急激な気圧傾度が台風の中心付近で記録的な強風になった要因と推察される。

2016年8月 台風第7号

【災害名】 平成28年台風第7号(へいせい28ねんたいふうだい7ごう) 【時期】 2016年(平成28年)8月14日~8月18日にかけて 【概要】 2016年8月10日にフィリピンの東で形成が始まった低気圧93Wについて8月11日15時(協定世界時11日6時)、気象庁は熱帯低気圧として観測を開始した。同日21時、台風に発達する可能性があるとして熱帯低気圧情報の発表を開始し、合同台風警報センター(JTWC)は12日6時30分(協定世界時11日21時30分)にTCFA(熱帯低気圧形成警報)を発令。13日15時(協定世界時13日6時)に熱帯低気圧番号09Wを割り当てた。09Wは14日3時(協定世界時13日18時)にマリアナ諸島の北緯20.9度、東経142.9度で台風になり、アジア名チャンスー(Chanthu)と命名された。 【被害状況】 この台風により、東日本から北日本にかけての広い範囲で大雨による被害が出た。16日夜から17日にかけて、北海道の広い範囲で大雨が降り、16日0時から17日24時までの総雨量は胆振地方の白老町森野で233.5mm、日高地方の浦河町中杵臼で207.5mmとなった。また、根室市納沙布で42.5mm(17日0時28分まで)、江別市江別で40.0mm(16日20時50分まで)の1時間雨量となり、いずれも統計開始以来の極値を更新した。さらに17日19時40分までの3時間雨量は、河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷で108.0mm、富良野市富良野で86.0mmに達し、いずれも統計開始以来の極値を更新。17日の日降水量は、上川郡美瑛町白金で157.5mm、上士幌町三股で146.0mmとなり、どちらも統計開始以来の極値を更新した。関東地方では、16日夜から17日明け方にかけて、千葉県と茨城県を中心に大雨となった。茨城県土浦市では65.5mmの1時間降水量となり、観測史上1位の記録を更新。その後17日朝以降は台風一過で晴れ、台風による暖かい空気の影響で、群馬県館林市で39.6度を観測するなど、内陸部を中心に猛暑日となった。東北地方でも太平洋側を中心に大雨が降り、多くの地域に一時土砂災害警戒情報が発表されていた。福島県茂庭で1時間降水量55.5mmを記録し、観測史上1位の記録を更新するなどした。そして北海道では、台風の上陸により大雨のみならず暴風も記録的なものとなった。17日19時45分には釧路市で最大瞬間風速43.2m/sを観測し、観測史上1位の記録を更新。最大風速については、31.8m/sを観測した釧路市をはじめ、大津で24.7m/s、鶴丘で24.0m/s、小清水で21.0m/s、白糠で19.6m/sとなるなど、いずれも観測史上1位の記録を更新した。北海道では18日、白糠町にある中学校の屋根が強風で吹き飛び、校庭に崩れ落ちる被害があった。道内では台風通過後も局地的な豪雨が続き、北見市常呂町を流れる常呂川が氾濫危険水位を超えた。また足寄町では、町内を流れる2本の川の水があふれ、住宅の浸水や道路の冠水の被害が発生し、約780世帯1620人に避難指示が出された。さらに道東を中心に大規模な停電も起こり、道内全体で最大8万戸以上が停電した住宅の浸水は、足寄町で約40戸、床上浸水が札幌市厚別区や置戸町などで計8棟、床下浸水が計18棟であった。20日には国道273号の上川町層雲峡の高原大橋が、石狩川の増水によって橋脚が沈むなどの被害が出たため通行止めとなったが、三国峠を含む国道273号上士幌町三股-上川管内上川町層雲峡(15.2km)が、9月30日14時に通行止めが解除された。 【特記事項】 台風はやや発達しながら15日から16日にかけて小笠原諸島及び伊豆諸島の東海上を北上し、一旦勢力を弱めたものの、17日になってから再発達し、2時前後に千葉県銚子市沖を通過。その後も関東・東北沖を陸地に沿うように北上し、同日9時に中心気圧980ヘクトパスカルという最低気圧を記録した。更に発達した台風は同日12時に最大風速30メートルを記録し、初めて暴風域を伴うようになった。そして17時30分頃、北海道の襟裳岬(様似町)付近に上陸した。18日3時、オホーツク海の北緯47.7度、東経144.6度で温帯低気圧に変わった。

2013年10月 台風26号

【災害名】 平成25年台風第26号(へいせい25ねんたいふうだい26ごう) 【時期】 2013年10月11日~10月16日にかけて 【概要】 2013年10月11日3時にマリアナ諸島付近で台風26号が発生し、アジア名「ウィパー(Wipha)」と命名された。命名国はタイで、女性の名前に由来する。 また、フィリピン大気地球物理天文局はこの台風について、フィリピン名「ティーノ(Tino)」と命名している。 台風は勢力を強めながら日本の南海上を北西に進み、速度を速めながら北上を続けた。 気象庁は15日午後より、関東地方に接近・上陸する台風としては「10年に一度の強い勢力」として警戒を呼びかけた。 26号は大型で強い勢力のまま暴風域を伴って、16日の明け方に伊豆諸島北部を通過、午前中に房総半島東岸をかすめ、15時に三陸沖で温帯低気圧に変わった。温帯低気圧に変わった後も、北海道をはじめとした地域に影響をもたらした。 【被害状況】 東京都・宮城県・茨城県・栃木県・群馬県・千葉県・静岡県の7都県で合計86棟が全壊、61棟が半壊するという被害が出た。 そのほか、16都県で合計947棟の一部破損、4都県で合計1,884棟の床上浸水、11都県で合計4,258棟の床下浸水の被害があった。 東京都、千葉県、茨城県の14地点で、観測史上最大の24時間降水量を記録した。 特に伊豆大島では、北東-南西方向に伸びる線状降水帯が停滞したため、台風接近前の16日未明から1時間に100ミリ以上の猛烈な雨が数時間降り続き、24時間雨量が800ミリを超える記録的な大雨となった。 この大雨は、関東平野および房総半島から流れ込む冷たい空気と、東から流れ込む台風北側の温かく湿った空気がぶつかって前線が発生したことでもたらされた。 雨量の記録 1時間雨量 東京都大島町(伊豆大島):122.5ミリ(16日3時53分まで) 大島町内では東京都設置の雨量計でも90 - 110ミリの猛烈な雨が観測されている。 24時間雨量 東京都大島町(伊豆大島):824ミリ(16日8時20分まで) 暴風 最大瞬間風速 北海道襟裳岬:46.9m/s(16日12時11分) 千葉県銚子市:46.1m/s(16日8時19分) 宮城県江ノ島:45.5m/s(16日9時32分) 最大風速 北海道襟裳岬:34.9m/s(16日12時36分) 宮城県江ノ島:33.6m/s(16日9時49分) 千葉県銚子市:33.5m/s(16日8時25分) 降雪 台風から変化した温帯低気圧が太平洋を通過した関係で、北海道上空に強い寒気が流れ込み、道内173観測地点のうち74カ所で今季最低気温を観測、 旭川市や帯広市、釧路市では前年より1カ月以上早い初雪を観測し、帯広市では帯広測候所に記録が残る1961年以降最も早い積雪(1センチ未満)を記録、遠軽町白滝では17日0時現在、30センチの積雪となった。 【特記事項】 崖崩れや河川が氾濫危険水位に達する等により、青森県・埼玉県・千葉県の3県、15,677世帯・38,642人に避難指示が出された。 一方、土石流災害による死者が発生した伊豆大島・大島町では、16日2時49分、元町地区の住民から「家の中に泥が流れ込んできた」と警視庁大島警察署に通報があり、現場に赴いた署員が危険を感じたため、3時10分と同26分の2度にわたり町役場に電話、防災無線を流し、避難勧告するよう要請したが、

2011年8月~ 台風12号

【災害名】 平成23年台風第12号(へいせい23ねんたいふうだい12ごう) 【時期】 2011年8月25日~9月5日にかけて 【概要】 2011年(平成23年)8月25日にマリアナ諸島付近で発生した、発生後徐々に発達しながら北上したが、亜熱帯高圧帯の気圧の尾根と太平洋高気圧によって進路を失い、小笠原諸島近海で停滞。一度西進した後、勢力を保ちながら再びゆっくりと北上し、四国地方へ上陸。 その後も速度を速めることなくほぼ真北へと進路を取り、岡山県・鳥取県を縦断し日本海へと抜けたのち温帯低気圧となった。 温帯低気圧になった後、日本海上でも偏西風による方向転換はなく北海道の西岸沖に向かっていき、北海道南東の海上から近づく台風13号も影響して伊達市で1日の降水量240.5ミリを記録するなど、東北・北海道に大雨を降らせた。 なお、当初の予報では、小笠原諸島からそのまま北上し、関東地方や東北地方の太平洋側を通過するものとみられていた。台風が大型で動きが遅かったため長時間にわたり周辺の非常に湿った空気が流れ込み、西日本から北日本にかけての広い範囲で大雨となった。 特に台風の中心から東側に位置した紀伊半島では総降水量が広い範囲で1,000mmを超え、奈良県上北山村にあるアメダスでは72時間雨量が1976年からの統計開始以来、国内の観測記録を大幅に上回る1,652.5mm、総降水量は1,808.5mmに達し、一部の地域では解析雨量が2,000mmを超えるなど記録的な大雨となり各地で甚大な被害をもたらした。 【被害状況】 全国で98人の死者・行方不明者が出た。これは平成の台風被害としては平成16年台風第23号と並び最悪のものである。他に、負傷者113人、住宅の全壊380棟、半壊3,159棟、一部破損466棟、床上浸水5,499棟、床下浸水16,592棟の被害が出た。和歌山県では災害関連死として6人が認められている。 土砂災害 9月1日、台風の接近に伴う大雨の影響で関東と紀伊半島を中心に被害が発生し、埼玉県本庄市・飯能市・小鹿野町で土砂崩れが発生した。2日には、三重県名張市においても発生した。4日午前0時過ぎには和歌山県田辺市伏菟野地区で土砂崩れが発生して住宅が全壊し、高校生ら5人が死亡した。 土砂に飲み込まれた対岸の集落(川からの高さが約10mの高台)では10月1日現在、5人が死亡し6人が行方不明となっている。田辺市内では熊野地区でも土石流が発生して民家1棟が流され、2人が死亡、1人が行方不明となった。 新宮市南檜杖では土砂崩れで4人が死亡した。 4日午前7時過ぎには、奈良県五條市の大塔町で大規模な土砂災害が発生した。清水地区で高さ180m、幅250mにわたって土砂が崩落し、増水した幅60mの天ノ川を乗り越えて対岸の宇井地区にせりあがり、川から約50mの高さまで達した。 紀伊半島で発生した大規模な土砂崩れについては、雨が地中深くまで浸透して岩盤の深い部分から大きく崩れる深層崩壊であると指摘されている。 他にも紀伊半島では土砂崩れによる道路の通行止めが多数発生し、世界遺産の熊野那智大社では裏山が崩れ、本殿の一部が土砂で埋まる被害が発生した。 河川の氾濫 9月3日、奈良県十津川村野尻地区では、川が土砂でせき止められ氾濫、村営住宅2棟が倒壊し2人が死亡、6人が行方不明となった。 同村長殿地区では、川の増水で家屋が流され全壊、2人が死亡、1人が行方不明になった。 天川村では増水した川に住宅2棟が流され、1人が死亡した。五條市大塔町宇井では、増水した川に民家数軒が流されるなどして、8人が死亡、3人が行方不明となった。 4日には、上流にあたる十津川村などに降り注いだ雨が熊野川に流れ込み、下流の和歌山県新宮市・三重県紀宝町などで氾濫した。新宮市熊野川町日足地区では、熊野川の増水により3人が死亡、熊野川行政局の庁舎3階近くまで浸水した。紀宝町浅里地区では広範囲にわたって水没し、1人が行方不明となった。 しかし、これらの被災地に向かう道路(国道168号など)が土砂災害や浸水などにより寸断された影響で、孤立した集落が多数確認された。十津川村は一時全村孤立した状態となった。 那智川でも河川の氾濫が発生し、那智勝浦町井関・市野々地区では川沿いにある集落の家が押し流され、多数の犠牲者が発生した。また、山体崩壊により、河川上で津波の特性を持つ段波が発生した。 岡山市では、笹ヶ瀬川や足守川で水位上昇により氾濫したため、市内全域の人口の3分の1にあたる23万8595人に避難勧告・指示が出た。さらに、姫路市でも市川が避難判断水位を超えたため9万9732人に避難勧告を発令した。 【特記事項】 8月30日17時から9月5日24 時までの総降水量は、紀伊半島を中心に広い範囲で 1000ミリを超え、奈良県上北山村上北山での総降水量が 1814.5 ミリとなるなど、多いところでは年降水量平年値の6割になった。

2005年8月 平成17年台風第14号

【災害名】 平成17年台風第14号(へいせい17ねんたいふうだい14ごう) 【時期】 2005年8月29日~9月8日にかけて 【概要】 この台風は、大東島地方に接近してから山陰沖へと抜けるまで、広い暴風域を維持したまま比較的遅い速度で進んだため、長時間にわたって暴風や高波、大雨が続いた。 3日から8日までの総雨量は、九州・中国・四国地方の各地で9月の月間平均雨量の2倍を上回り、宮崎県では1,000mmを超えた。 宮崎県南郷村神門では1,322mm (月間平均雨量比2.9倍) 、えびの市で1,307mm (月間平均雨量比2.8倍)、鹿児島県肝属郡肝属町肝属前田で956mm (月間平均雨量比3.2倍) に達した。 また、九州・中国・四国の各地方と北海道の62地点では、それまでの日雨量の記録を更新したほか、台風の接近・上陸に伴い各地で暴風、高波となった。 4日には南大東島で最大瞬間風速55.6m/s、6日には鹿児島県種子島で同59.2m/s、屋久島で同58.1m/sが観測された。 この台風によって、熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県を中心に九州~東北地方で土砂災害、大雨による浸水などが起きた。また、岡山県・広島県・香川県では高潮による床上・床下浸水も発生した。 人的被害は、宮崎県を中心に全国で死者・行方不明者29人に達した。台風が日本の南海上を移動中の3日から4日にかけ、台風から本州上に停滞する秋雨前線に向かって暖かく湿った空気が流入。 3日には鳥取県・京都府・新潟県・福島県で1時間に約60mmの非常に激しい雨が降り、鳥取県では日雨量が100mmを超えた。 4日夕方から5日未明にかけては東京都・埼玉県・神奈川県など首都圏でも、大気の状態が不安定となって雨雲が急速に発達し、東京都と埼玉県では局地的に1時間に100mmを超える猛烈な雨となった。 この期間の降水量は、東京都が設置した雨量計によるデータでは杉並区下井草で264mm、久我山で240mm、練馬区上石神井で240mmに達した。 【被害状況】 日本各地の被害状況 ※死傷者が出た被害、その他主な被害のみ記載 九州地方 宮崎市で竜巻が発生、家屋や車などを破壊。 鹿児島県垂水市でがけ崩れと鉄砲水で4人死亡。 熊本県阿蘇市の豊肥本線が倒木にぶつかりガラスにひびが入る。 宮崎県三股町で土砂崩れ、住宅が倒壊。2人死亡。 宮崎県北部の高千穂鉄道高千穂線にある五ヶ瀬川に架かる二つの鉄橋が崩落。 復旧を断念し、3年後の2008年12月で全線が廃線となった。 宮崎県椎葉村で土砂崩れ、民家3棟が全半壊。1人死亡、2人行方不明。 宮崎県高千穂町で土砂崩れ、家屋が倒壊。3人死亡、1人行方不明。 宮崎県の大淀川・五ヶ瀬川・小丸川流域で浸水が多数発生。宮崎県内の床上・床下浸水は2,253戸。 特に高岡町、宮崎市小松、延岡市での被害が大きい。 熊本県五木村築切の国道445号が数ヵ所で損壊した。 四国地方 瀬戸内海沿岸の都市では、9月6日から7日未明にかけて、高潮による被害が出た。

2004年8月 台風第16号

【災害名】 平成16年台風第16号(へいせい16ねんたいふうだい16ごう) 【時期】 2004年8月19日~8月31日にかけて 【概要】 8月19日21時にマーシャル諸島近海で発生した台風16号は、23日にサイパン島の西で猛烈な勢力となった。 27日以降、日本の南海上をゆっくりと北西に進み、29日夜には九州の南海上で進路を北寄りに変え、30日10時前、鹿児島県串木野市(現在のいちき串木野市)付近に大型で強い勢力(中心気圧950hPa)で上陸し、九州を縦断した。 17時半頃、山口県防府市付近に再上陸した後、中国地方から能登沖を、次第に速度を速めて強い勢力のまま北東に進んだ。 その後やや勢力を弱め、31日に津軽海峡を通って、12時過ぎ、北海道函館市付近に再上陸し、15時に北海道東部で温帯低気圧に変わった。 27日から31日にかけての期間降水量は、西日本の太平洋側で500mmを超え、台風上陸、接近に伴い各地で暴風となった。 また、30日夜には、台風接近と大潮期間の満潮とが重なり、高松港や宇野港などで観測開始以来最も高い潮位を観測した。 この台風は、2004年の台風では最も強く、最盛期には中心気圧910hPa、最大風速55m/s(110knot)の猛烈な勢力だった。 また、強風域や暴風域も広く、台風の中心から離れたところでも強い風が吹いた。 さらに、気圧の低下や強い風の吹きつけ、そして大潮期間の満潮が大規模な高潮被害をもたらしたと考えられる。 全国での死者は14人、行方不明者3人、負傷者269人と人的被害も大きかった。 さらに、この台風の後の台風18号により、復興作業中の九州地方や中国・四国地方でさらに被害が広まった。 【被害状況】 被害 死者: 14 名 行方不明者: 3 名 負傷者: 269 名 住家全壊: 30 棟 住家半壊: 92 棟 床上浸水: 16,840 棟 床下浸水: